男子プロゴルフの松山英樹(21=東北福祉大)が、茨城県沿岸部の復興のシンボルになる。30日に茨城・大洗GCで開幕するダイヤモンド・カップに向け、29日にプロアマ戦で最終調整。屈指の難コースに「難しいというイメージ通り。林に入れたら出すだけ。ショットの調子もよくない」とため息をついた。

 それでも「今週はあきらめず、投げやりにもならずにプレーをしたい」と話すのには、理由がある。会場がある大洗町は、11年の東日本大震災で、街の大半が5メートルの大津波の被害を受けた。避難が成功し、津波による死者が0だったこともあり、東北3県に比べて話題になることは少ない。しかし被害額は150億円に上るなど、復興に時間がかかった。

 震災から2年。ようやくダイヤモンド・カップが大洗に戻ってきた。松山は「試合をしていただけるということは、それだけ復興が進んだということなんだと思います」。仙台で学生生活を送り、沿岸部でボランティア活動もしてきただけに「街が活気づくようなゴルフをみせたいです。プレー1つ1つに心をこめて、しっかりと」と意気込む。

 プロになって4戦で、優勝1回、2位2回、全てトップ10入り。いずれも最終日の後半に劣勢を一気に盛り返し、ファンを沸かせてきた。コースも「逆転の大洗」と呼ばれ、01年の今大会では第1日116位の伊沢が優勝したこともある。難局にもくじけずに、粘り強く巻き返しをはかる得意の展開で、被災地の人々を勇気づける。【塩畑大輔】