<女子ゴルフ:新人戦:加賀電子杯>◇最終日◇13日◇千葉・グレートアイランドC(6390ヤード、パー72)◇賞金総額600万円(優勝108万円)

 藤田光里(ひかり、19=フリー)が、通算1アンダー143で逃げ切り勝ちした。1打差の単独首位から出て、強風に苦しみながらも75で回り、ツアー2勝の成田美寿々(21)に競り勝った。北海道女子アマ5連覇の実績を持ち、来季の出場権を争う最終予選会でも1位となった実力派。「道産子プロ」の誇りを胸に、森田理香子(23)ら歴代賞金女王を輩出した大会を制し、スター候補生に名乗りを上げた。

 藤田は18番の第1打を大きく右に曲げたが、冷静だった。1打差の成田がピンから遠く難しい位置に2オンさせるのを見て、「ボギーでプレーオフでもいい」と真横のフェアウエーに出して第3打勝負。ピン右5メートルへ。成田に重圧をかけて3パットを誘い、逃げ切った。「優勝はうれしいけど、オーバーパーになったのが悔しい」。柔らかな笑顔の中にプロ魂をのぞかせた。

 札幌市出身で、郷土愛が強い。中学3年で国体に優勝した際、他県の敗れた選手が「北海道に負けたよ」とぼやくのを聞いて「カチンときた」。全国の強豪校からの誘いがあったが、地元で進学。Jリーグ札幌MF神田夢実は中学の同級生で、卒業時に一緒に写真を撮り「この写真が価値あるものになるように」と、互いに「道産子プロ」としての活躍を約束した。

 「最後は曲がったけど」と照れ笑いも、飛んで曲がらないドライバーショットが武器だ。本大会歴代覇者からは不動、上田、横峯、森田と4人の女王が誕生。もちろん本大会と出場予選会1位のダブル制覇も初めてだ。「勝てる選手になりたい。狙える時には、攻めていきたい」と貪欲さもある。来季のブレークを予感させる材料は、すべて持っている。【岡田美奈】

 ◆藤田光里(ふじた・ひかり)1994年(平6)9月26日、札幌市生まれ。父孝幸さんの指導で3歳からゴルフを始め、09年から北海道女子アマ5連覇。札幌光星高に進み、その後、飛鳥未来高へ。今夏のプロテストは6位で合格。ドライバーの飛距離は約260ヤード。165センチ、56キロ。