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錦織がロディックに敗戦も手応え/テニス
- シングルス2回戦でアンディ・ロディック(右)に敗れた錦織圭(共同)
<男子テニス:SAPオープン>◇21日◇米カリフォルニア州サンノゼ
ニューヒーローの快進撃がついに止まった。先週、日本男子として16年ぶりのツアー優勝を遂げた錦織(にしこり)圭(18=IMG)が、初のトップ10対戦となった世界6位のアンディ・ロディック(25=米国)に2-6、4-6で敗れた。連勝は9で止まったが、世界最速の記録を持つサーブを破るなど、大物の片りんを見せた。次戦は、25日から始まる米メンフィスのツアー大会に出場予定。
敗れても、錦織の自信はふくらむ一方だった。勝負では完敗だった。しかし、初のトップ10相手に、十分な手応えを感じた。「思ったより強くなかった」。大口をたたくタイプではない。冷静な判断と自信が、強気な言葉を生んだ。
1回戦と同様に、サーブで苦しんだ。第1セットは第1サーブが50%しか入らなかった。サーブが武器ではない選手だけに、安定感がなくてはつけ込まれる。第2セットに入ると、一気に69%まで確率を上げ、ロディックに食い下がった。「ストロークでは勝っている手応えがあった。うまくリターンもできた」。世界最速のサーブも破り、得意のフォアでは何度もポイントを奪った。
ロディックは真剣だった。雄たけびを上げ、試合中には「おれをくぎ付けにしてみろ!」と錦織を威嚇した。世界のトップが、マジで新星をつぶしにかかった。「これ以上、若い友達はいらないんでね」。世界6位と131位。相撲で例えれば、番付で大関と十両以上の開きがあるかもしれない。その大関が、錦織の才能を本物と認めたからこそ、手荒い歓迎を見せた。
全米でも、日増しに錦織フィーバーが高まった。会場は番狂わせを期待する空気が流れた。声援の大きさは地元のロディックを上回った。日本国内では、WOWOWが急きょ、先週の決勝の模様を放送することを決めた。ワイドショーは、連日、錦織家の話題で持ちきりだ。
また世界ランクが上がる。120位台に突入は確実で、今後の2、3大会で松岡以来の2けたランクも見えてきた。「プレー自体は悪くない。これからが楽しみ」。大きな自信に、この日はかけがえのない経験を積み「テニスの王子様」が、また一回り王者に近づいた。
[2008年2月23日9時42分 紙面から]
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