大洋、横浜(現DeNA)、巨人でスカウトを務めた東海大の長谷川国利監督(63)にドラフトにまつわる話を聞く「元スカウト的ドラフトのミカタ」。後編は「いよいよ今日開催! 今年のドラフト展望」です。
長谷川監督が今年のドラフトの展望として真っ先に挙げたのが、創価大・立石正広内野手(4年=高川学園)の動向だった。
アマチュア屈指の右の強打者として知られ、大学日本代表では3年から4番を務めるアマNO・1野手。既に広島が1位指名を公表しており、競合は避けられない状況だ。野手の最多は95年福留孝介(PL学園)と17年清宮幸太郎(早実)の7球団で、大学生野手の最多は79年岡田彰布(早大)の6球団。「立石を外した場合に、各球団が誰を指名するかも大きなテーマになるでしょう」と話した。
大学生の豊作が目立つ今年は、打者は法大・松下歩叶(あゆと)内野手(4年=桐蔭学園)、明大・小島大河捕手(4年=東海大相模)、青学大・小田康一郎内野手(4年=中京)ら、投手は青学大・中西聖輝投手(4年=智弁和歌山)、早大・伊藤樹投手(4年=仙台育英)、東洋大・島田舜也投手(4年=木更津総合)、亜大・斉藤汰直投手(4年=武庫荘総合)らが1位候補に挙がる。
とりわけ長谷川監督が気に入っているのは、早大の伊藤樹だ。「オープン戦で対戦した時に、バッティングカウントで投げたボールが印象的でした。ストレートを投げ込みたいというところでも、きっちり変化球をコースにちゃんと投げていた。配球をよく考えているなというのがベンチにも伝わってきて、もう既にプロ野球選手みたいな投球をする選手だなと感じました」と称賛した。
母校の監督就任2年目にして、NPBに教え子が生まれる期待が高まっている。大学球界NO・1ショートの呼び声が高い大塚瑠晏(るあん)主将(4年=東海大相模)に「場面ごとに自分がどういうプレーをすべきか明確にビジョンを持っている。即戦力の野手として推薦できる存在」と太鼓判を押した。また、米スタンフォード大・佐々木麟太郎内野手(20)については「スカウトの立場だったら、他球団の動きをチェックしたくなる」とギラギラと目を光らせた。30年以上にわたりスカウト業務の最前線で活動していた嗅覚は全く衰えていない。
長谷川監督 スカウトにとって最も重要なのは決断力です。担当した選手がいいのか、悪いのか。白黒はっきりさせることが必要なんです。最悪のスカウトは常に評価をグレーにして、自分の責任を回避しようとする人です。自分の判断が必ずしも正解ではないことを覚悟した上で、ジャッジメントするのがスカウトにとってのやりがいであり、楽しみなんですよ。
最新のデータにとらわれず、自分の目を大事にする。ピンチの場面でも動じない投球術や18・44メートル離れた所から相手に与える圧力は、決して数値では計り知れない。要は自分が評価した選手のどこに、どれだけほれ込んだのか。単純明快ながら、実はそこが難しい。選手の未来を見通す目。スカウトたちの長年の経験でしか養えない審美眼が、運命の日に試されている。【平山連】(この項おわり)
◆長谷川国利(はせがわ・くにとし)1962年(昭37)5月26日、東京・江東区生まれ。東海大相模-東海大を経て、84年ドラフト4位で大洋(現DeNA)へ入団。90年に現役引退後に大洋でスカウトに転じ、03年から活動の場を巨人に移し、スカウト部長、編成本部付部長などを歴任。巨人時代には長野久義、菅野智之、山崎伊織らの獲得に携わった。23年限りで巨人を退団。24年1月、東海大監督に就任した。






