「全部、ゴリラ過ぎる!」ときた。優勝を決めた3日深夜、広島で行われたビール掛け。佐藤輝明について聞かれた森下翔太の名言? だ。言っていることも含めて森下のはしゃぎっぷりが小学生のそれのようで面白かった。佐藤も「こいつは…」という感じであきれながら大笑いしていたのである。
プロ4年目の26歳。まだ若い森下だ。今季は批判されることもあった。OBなどから「ゴロで全力疾走しない」などと言われている。ジャッジに文句を言って退場にもなった。
森下が入団したときの監督でオーナー付顧問の岡田彰布も「もうちょっと謙虚さがいるわな」などとハッキリ指摘している状況だ。その批判はもっともだと思う。さすがにまだ退場になるほど審判に抗議するキャリアでもないし、凡打で実際“抜いて”走っているように見えるときもある。
今どきの若者風というか、そういう面があるのは事実だろう。同時にそんな若さ、やんちゃさみたいなものも魅力では…と感じている部分もあるのだ。阪神にそういうタイプが他にいないから余計にそう思うのかもしれない。
そんな森下がこの日、懸命に走った。チームが無安打だった4回、1死走者なしの場面で痛烈な三ゴロを放つ。これが少しイレギュラーバウンドになり、DeNAの三塁手・筒香嘉智も懸命に投げたがセーフに。これをキッカケに阪神はこの日、唯一の得点を挙げたのである。
「走姿顕心」(そうしけんしん)。「走る姿に心が表れる」という意味だ。阪神で聞いたのは知る限り、最初は元監督・矢野燿大の時代に、外野守備走塁チーフコーチの筒井壮が用いたと思う。
確かに走る姿には懸命さが表れる。森下も4回は「なんとか生きよう」と思って走ったと思う。明らかな凡ゴロならどうだったかは分からないが。大事なのは、こういう1本を経験にして「全力疾走すれば何が起こるか分からない」と自分で感じることだろう。
よく「教育」と言われるが、すでにプロ。しかも一流だ。人に言われて素直には聞けないかもしれない。だが結果として出れば別のはず。広島の夜に優勝が決まり、はしゃぎまくり、少しの睡眠だけで移動してきた横浜でこれだけ力走できるのだ。その若さをポストシーズンに思い切りぶつけてほしい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




