八戸学院光星(青森)が、市尼崎(兵庫)を延長10回5-4と振り切り、2回戦に進出した。

 名前のごとく“飛んだ”。9回に2点リードを追いつかれた直後の延長10回2死満塁。3番田城飛翔(つばさ)外野手(3年)は、2球目の高め内角直球を右翼線に引っ張った。「ファーストがはじいたので、頭から飛び込んだ。相手の勝負球を狙っていた」。6回には高校通算11本目となる同点ソロをバックスクリーン右横手前に突き刺した。

 父の言葉が田城の殻を破るきっかけをつくった。大輔さん(45)は88年に東海大甲府(山梨)でセンバツに出場し、現在は神奈川・二宮大磯シニアで監督を務めている。中学時代は父の元でプレーし、打てなくてふてくされることもあった田城に「姿即心(すがたすなわちこころ)」という言葉を送った。大輔さんは「自分はセンバツに出たけど、控えでした。試合に出られなかった理由が、今の自分は分かっているので」と意図を明かした。

 甲子園で本塁打を放つまでに成長した田城は「外見で自分の中身が分かる。心が良かったら姿も良くなる」と胸を張った。スタンドで息子の勇姿を見届けた大輔さんは「ホームランはまぐれだと思う」と謙遜しながらも「全国制覇を狙える素晴らしい環境で野球ができていることに感謝しないと」と熱視線を送った。

 青森大会では22打数7安打3割1分8厘だったが「大振りしていた」ため、本来の打撃には程遠かった。大阪入りしてからも必死にバットを振り続け、夏本番に間に合わせた田城は「打てなくても3番で使ってくれていたので、監督の期待に応えたかった」と笑顔を見せた。プロ注目右腕・藤嶋健人(3年)擁する東邦(愛知)との次戦に向けて「右、左といい投手がいるので研究して打ちたい。目標は全国制覇。一戦必勝でやる」。真っ黒に汚れたユニホーム姿で意気込んだ。【高橋洋平】

 ◆田城飛翔(たしろ・つばさ)1999年(平11)3月19日、神奈川・寒川町生まれ。小3から岡崎メイツで野球を始め、大住中では二宮大磯シニアでプレー。八戸学院光星では2年春からベンチ入りし、3年春にセンバツ出場。178センチ、72キロ。右投げ左打ち。家族は両親と兄、弟。