高校野球で導入が検討されている「7イニング制」は、アジアからどう見られているのか-。
日刊スポーツでは、9月7~13日に台湾で行われた「第14回BFAU18アジア選手権」の参加国へアンケートを行った。日本を除く7チームの選手やコーチ、メディア関係者らを対象に調査。16~18歳の高校年代で「7イニング制の採用に賛成またはおおむね賛成」の回答が約7割に上った。現場から9イニング制を維持したい声が圧倒的な日本とは対照的な結果となった。【取材・構成=平山連】
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アンケートはU18アジア選手権に参加した韓国、台湾、フィリピン、香港、タイ、スリランカ、シンガポールを対象に行われ、計29人から回答を得た。多くが日本で7イニング制に関する議論が過熱していることを把握していなかったため、あらかじめ暑さ対策や選手の健康保護の観点が背景にあることを伝えた上で回答してもらった。
7チーム計29人による回答うち、16~18歳の世代で「7イニング制への採用に賛成・おおむね賛成」すると答えたのは20人と最多だった。「9イニング制の採用に賛成」は8人、「どちらでもない」は1人と続いた。日本と同じように普段から9イニング制で試合をしているのは韓国のみだった。
7イニング制を賛成すると答えた理由を問うと「フィリピンでは専用球場がなく、普段の試合はデーゲームで行われます。照明設備のないグラウンドでやる場合、7イニング制なら日没までに4試合から5試合できる可能性がある」(フィリピンアマチュア野球連盟副代表カストロ氏)や「ミスが試合の結果に直結しやすくなり、よりエキサイティングになると思う。1回から重要性が増し、試合全体を通して集中を維持しなければならない」(シンガポール代表カエモン内野手)といった声が出た。
一方、父が米国人のタイ代表AJダム投手兼内野手(17)は9イニング制の採用に賛成する考え。「アメリカでも7イニングでやっているけど、もし9イニングなら結果が変わっていたかもしれない試合がたくさんあった。7イニングだと『まだ続きがあるのに短く切られてしまった』と感じて面白くないです」という意見を述べた。
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<記者の目>
アジア他国を対象にしたアンケートからは、日本国内における7イニング制に関する受け止めとの違いが浮き彫りになった。アジア選手権でも採用された7イニング制で試合を行うことに疑問を持つ人はほとんどおらず、日本の高校野球の現場でよく聞く「8回、9回にドラマが生まれやすい」「9イニング制でなければ野球じゃない」といった考えは他国では一般的とはいえなかった。
昨年12月に公表された日本高野連が行った加盟校によるアンケート結果では、7イニング制への反対が計70・1%、賛成が計20・8%だった。部員数が増えるほど反対派が増加する結果だった。他国の高校球児らを対象にした今回のアンケートとは異なる結果だ。
台湾大手メディアの記者の1人は「日本人にとって甲子園の存在の大きさが関係しているのでは」と推測した。「日本の友達の中にもプロ野球はあまり見ないけど、高校野球は好きだから見ている人が多い。甲子園が日本人にとってどれほど大事なのか分かる」という。球児たちの祭典が、長年にわたり日本社会に与えてきた多大な影響力が、論議を難しくさせているのかもしれない。
◆7イニング制 高校野球で行われてきた9イニング制の試合を2イニング短縮すること。同世代の国際試合ではスタンダードで、現在青森で開催されている国民スポーツ大会でも採用。日本高野連が昨年12月に出した「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」の最終報告書では、酷暑対策などを理由に「2028年の第100回記念選抜高等学校野球大会ならびに各都道府県高等学校野球連盟の春季大会から採用することが望ましい」と提言した。現時点で導入が決まったわけではなく、引き続き議論が続く。

