大阪

優勝して甲子園出場を決めマウンドでガッツポーズするＰＬ学園ナイン（撮影・田崎高広）

ＰＬ学園Ｖへの足跡
１回戦	10－０	布施
２回戦	10－０	今宮工科
３回戦	６－１	泉尾工
４回戦	３－０	羽曳野・懐風館
５回戦	12－１	生野工
準々決勝	10－５	大阪桐蔭
準決勝	６－４	履正社
決勝	10－０	関大北陽

＜大阪大会：ＰＬ学園１０−０関大北陽＞◇８月１日◇決勝

　全国最後の甲子園切符は、ＰＬ学園がつかんだ。第９１回全国高校野球選手権大会（８日開幕、甲子園）の大阪大会決勝でＰＬ学園が１０－０と関大北陽に圧勝し、５年ぶり１７度目の出場を決めた。１番の吉川大幾外野手（２年）が今夏２本目の先頭打者弾を含む２本塁打で、大会通算５本。大先輩の元オリックス清原和博氏（日刊スポーツ評論家）の２年時の４本を超えた。背番号１０の左腕・井上大樹（３年）が完封し、府内無敗の２３連勝。８５年の同校以来となる秋、春、夏と「完全制覇」で春夏連続の甲子園に乗り込む。全国４９代表が決定し、組み合わせ抽選は５日に行われる。
　 全国最後の決勝で、スターの座を不動のものにした。吉川が先制の先頭打者弾＆第３打席の高校通算１４号ソロで今夏通算５アーチ。清原の２年時４本を抜き去り、ＰＬ学園５３年の歴史で「最強の２年生１番」に躍り出た。「大阪代表の誇りを持って甲子園では絶対に優勝したい」。堂々の全国Ｖ宣言まで飛び出した。
　 早々と勝利の女神を引き寄せた。初回、カウント１－２からの直球をファウル。このひと振りで「相手のストレートに完ぺきに合った」という。６球目、低めの直球をバックスクリーンに運んだ。４－０リードの４回にはスライダーをとらえ、自身初の１試合２発。「ホームランは狙ってません。塁に出て、流れに乗せることが僕の役目」の言葉を最高の形で実践した。
　 大阪無敗２３連勝。だが、大会序盤は苦しかった。昨夏から４番の勧野甲輝外野手（２年）はメンバー漏れ。エース中野隆之（３年）が左ひじ痛で登板できない。大黒柱が抜け、圧倒的な強さ、試合運びのうまさは見られなかった。だが、吉川が今夏１号を打った４回戦から打線はつながり「らしさ」が戻った。２度のスクイズなどで着実に加点、堅守も戻った決勝こそ、伝統の強さがあった。
　 チームに火をつけた吉川は入学時から逸材だった。８７年春夏連覇の主砲・深瀬猛コーチ（４０）は「高めの球を打ちに行っても負けない。リストが強い」と言う。強肩俊足でリズム感も抜群。夕陽丘中３年の文化祭では「やれる人間がいない」とドラマーに指名された。
　 帰宅後午後１０時から２時間、重ねた漫画雑誌をたたいてスティックさばきを練習し、大役を果たした。「足の切り返しとか激しい動きなどにリズムがあり、今に生きています」と五条小時代にソフトボールを教えた父雄司さん（５２）は言う。ひたむきな姿勢に河野有道監督（６０）も「新チームのキャプテンです」と絶対の信頼を置く。
　 大会３本塁打の４番村田穏行（やすゆき）内野手（３年）は「１番があんなに打つから、４番はどれだけすごいんや？　と思われてプレッシャーかかります」と笑う。この日、富田林の夜空を彩ったＰＬ花火芸術に負けないチーム１２本のアーチを打ち上げ、ＰＬ学園が５年ぶりの夏の甲子園に乗り込む。【堀まどか】

　［2009年8月1日　紙面から］

◆ＰＬ学園　１９５５年（昭３０）に創立の私立校。普通科のみで、生徒数は３１３人（女子１１６人）。野球部は５６年創部で、甲子園は春２０回、夏は１６回出場。野球部員は６３人。ＯＢには元オリックス清原和博、元パイレーツ桑田真澄、中日立浪和義らがいる。所在地は富田林市喜志２０５５。正井一真校長。