【テンピ(米アリゾナ州)10日(日本時間11日)=斎藤庸裕】準備OK、二刀流で再出発だ。エンゼルス大谷翔平投手(25)が、キャンプイン2日前、全体練習で使用される球場で本格的な自主トレを行った。一昨年に右肘内側側副靱帯(じんたい)の再建術(トミー・ジョン手術)、昨年は左膝の二分膝蓋(しつがい)骨の手術を行い、昨年末にリハビリが終了。二刀流復活を期待される中、患部の回復や仕上がり具合に「潜入」した。

手術明けとは思えない動きだった。ウオーミングアップでは左足をグッと踏み込む。投球時のステップを意識するように、股を割った。サイドステップも軽快。さらに約30メートルと50メートルの距離でダッシュを繰り返し、下半身の不安を一掃させた。晴天のグラウンドで、ユニホームの下の白いズボン、チームカラーの赤いシャツ、帽子をかぶって行った本格的な自主トレ。既に1人だけ先乗りキャンプインしたかのような姿だった。

約15分間のキャッチボールでは、昨年までの赤基調ではなく白基調のスパイクを履き、心機一転。短めの距離からスタートすると、最大で約50~60メートルまであっという間に到達した。助走をつけ、ステップをしながらスローイング。20メートルほどの距離では力を入れるように投げ込み、スライダー、カーブなど変化球も自由に交えた。

昨年は打者として出場しながら、同時に右肘のリハビリを進めていた。段階が上がるたび「術後初!」という枕ことばがついた。初ブルペン後はカーブ、スライダーを順々に解禁。じっくり、ゆっくりステップアップしていたのとは、まるで状況が違う。この日の投球のラストは、直球とスライダーを数球ずつ交互にミックス。少しでも不安があれば、テンポよく投げ込むのには怖さが残るはず。立った状態の相手に投げたとはいえ「右肘を手術したのか?」と思うほどの快調な投げっぷりだった。

昨シーズン後、左膝と右肘のリハビリを並行し、12月中旬に投球プログラムを無事に終了。一方で、エプラーGMが投手としては5月ごろのメジャー復帰を示唆するなど、チームは慎重な姿勢を見せる。トミー・ジョン手術明けでシーズン当初は球数制限が設けられる見込みだが、大谷の仕上がりは万全のように見えた。

「ブルペン入りするか?」というまでの期待が頭をよぎったが、キャッチボールを終えるとグラウンドでの練習は終了。室内練習場へバットを持って移動し、合計で約1時間半、投打で調整を行った。大谷自身が「一番悔しいシーズン」と振り返った昨年。二刀流復活で巻き返しへ、準備万全だ。