広島からポスティングシステムでメジャー移籍を目指していた鈴木誠也外野手(27)が16日(日本時間同)、カブスと入団合意したと複数の米メディアが一斉に報じた。ジ・アスレチックのケン・ローゼンタール記者がツイッターで「セイヤ・スズキがカブスと合意。フィジカル(身体検査)待ちで、5年で8500万ドル(約97億8000万円)」と報じた。有力視されていたパドレスやジャイアンツ、レッドソックスなど8球団以上のオファーから、ナ・リーグ中地区の名門を選んだ。

争奪戦はパドレスのリードが伝えられたが、チーム再建を図るカブスは14日夜、オーナー兼会長を務めるトーマス・リケッツ氏(55)が最終交渉の席に直接出馬。ジェド・ホイヤーGM(48)ら球団幹部の他に、オーナーも獲得熱意を伝えるなど、猛アタックをかけた。パ軍の最終オファーも5年7000万ドル(約80億5000万円)前後とされていたが、それを大きく上回った。年数、総額とも2008年カブス福留孝介外野手(44=現中日)の4年4800万ドル(約55億2000万円)を上回り、日本人メジャー野手1年目の最高契約となる。

カブスはメジャー屈指の名門球団。16年には108年ぶりの世界一に輝いたが、昨季途中に主力を放出するなど、チーム再建を急いでいる。特に外野手は定位置が空いており、鈴木獲得を最優先事項に挙げていた。

鈴木は7日に渡米し、10日に新労使協定締結によるロックアウト終了により、移籍交渉が再開された。今後は身体検査を経て、入団が正式発表される見込み。オープン戦は17日(日本時間18日)のホワイトソックス戦からスタート。24日(同25日)と4月2日(同3日)には、同学年の大谷翔平投手(27)が所属するエンゼルス戦が組まれている。公式戦は4月7日(同8日)の本拠地ブルワーズ戦で開幕する。

◆日本人野手1年目トップ 鈴木の契約内容は総額、年数とも破格となる。総額8500万ドルは日本人野手のメジャー移籍初年度では最高額。過去最高は08年のカブス福留孝介で4年4800万ドル(約55億2000万円)。ヤンキース松井秀喜とレッズ秋山翔吾の3年2100万ドル(約24億2000万円)が続く。投手を含めると、14年にポスティングでヤンキースへ移籍した田中将大(現楽天)の7年1億5500万ドル(約178億円)がダントツ。5年も、初年度の野手では福留を抜いて最長期間。移籍初年度の条件を外しても、野手ではイチローが08年からマリナーズと結んだ期間に並んだ。日本人野手の最高契約額は、同08年イチローの5年9000万ドル(約104億円)。広島には、約15億円の譲渡金が入るとみられる。