レンジャーズ入りするダルビッシュ有投手(25)に前代未聞の渡米プランが22日、判明した。日本ハムを昨季限りで戦力外になった後輩のダース・ローマシュ匡投手(23)を現地へマネジャー的な役割で同伴させる構想があることが、分かった。現役復帰希望を持つ同投手の再起が目的の1つで、ダルビッシュが「指導者」を兼任する可能性が浮上した。

 ポスティング史上最高額投手は「副業」のスケールも規格外だった。ダルビッシュがメジャー挑戦の際に一緒に渡米するサポートメンバーの1人としてダースをリストアップ。マネジャー業務を託すのが目的だが、後輩思いのダルビッシュならではのサプライズ計画を温めていることが分かった。現役続行の夢が絶たれそうなダースの復帰希望をかなえるため、力を貸す意向を持っているという。

 戦力外選手を再起させる「再生工場」のテキサス版になりそうだ。インド人の父、日本人の母を持つダースは似たバックボーンを持ち、191センチの同じ長身右腕。潜在能力も評価しており、一目置いていた。その一番弟子が昨季限り、わずかプロ5年で戦力外通告。今季のプレー先がなく、周囲に「現役復帰させる」などと、米に同伴させて救いの手を差し伸べるアイデアを明かしているという。

 会見出席のために渡米した20日で打ち上げた宮崎で、ダルビッシュが主導して行っていた合同自主トレに楽天田中、西武田中、日本ハム中村、土屋らに交じりダースも参加していた。ダースは昨年11月の12球団合同トライアウト直後には「いろいろと考えています」と米マイナーへ挑戦の可能性も示唆していたが、思わぬ形で渡米チャンスが舞い込んだ。関係者によれば熟慮し、結論を出すという。

 正式決定すれば、ダルビッシュも絶好のアシストを受けられる利点がある。キャンプ中、シーズン中に球団に課せられるメニュー以外の練習相手だけではなく、初めての米国生活のストレスも気心が知れた後輩の存在で、和らぎそうだ。メジャー1年目から余力を想定していなければ実現しないであろう人事が、水面下でスタート。ダルビッシュが底知れぬポテンシャルを証明する「大リーガー兼任指導者」で、新しい野球人生の幕を開ける。

 ◆ダース・ローマシュ匡(たすく)

 1988年(昭63)12月15日、奈良県生まれ。父シェンカーさんはインド人。岡山・関西高で1年秋からベンチ入りし、2年のセンバツから4季連続甲子園出場。3年のセンバツでは1回戦で坂本(現巨人)に3安打を許すも光星学院に勝ったが、2回戦で斎藤(現日本ハム)の早実と再試合の末に敗退。06年高校生ドラフト4巡目で日本ハム入団。1軍成績は08、10年に先発で1試合ずつ投げ0勝1敗、防御率3・68。10年8月に右肘手術。11年は2軍で1試合登板にとどまった。191センチ、78キロ。右投げ右打ち。