こんにちは。山田久志です。日刊スポーツのオフ企画「サンデー球論」。プロ野球に関する話題を、私なりの視点でお届けします。

さて、阪神。まさかの17年ぶり最下位に終わりました。広島に20ゲーム差をつけられました。私は、金本監督だけの責任ではないと思っています。

どのチームにも戦力的に引けをとらなかった。新外国人ロサリオの見込み違いはありました。しかし、根本的な問題はそこではありません。

ここまで落ち込んだ低迷の要因は、阪神というチーム、球団から感じる「ぬるま湯体質」にあると思っているのです。

若手は、野手も、投手も育てきれない。それは、選手が甘い、選手に甘いからです。金本監督はその体質を変えることができなかったということでしょう。

球団は金本監督を全面的にバックアップしてきたと思っているでしょう。でも、監督に対して、本当の意味で、的確なアドバイスのできる人材が存在したのでしょうか。

今シーズンは、打てない、打てないと言われました。チーム打率(2割5分3厘)、得点(577)はリーグ5位。85本塁打にいたってはリーグワーストです。

しかし、私に言わせれば、自慢の投手力に「落とし穴」がありました。先発は頭数がそろい、リリーフも盤石とされましたが、その読みが甘かったです。私は開幕前から秋山がカギを握ると踏んでいました。昨季12勝(6敗)した投球ができれば、そこに他の若手が追随すると思ったからです。それが5勝(10敗)しかできませんでした。

主戦のメッセンジャーを押しのける若手が出てこない。それができるのは秋山、藤浪の2人でしたが、共倒れです。小野、才木、望月らの台頭といっても、まだ相手から怖がられるまでのレベルにはきていません。

藤浪もなんとか5勝(3敗)しましたが、ペナントレースの行方がほぼ固まってからでは、安易に復活が見えたとは言いにくいです。

藤浪については、表現は適切ではないかもしれないですが、監督、コーチは、1度手を放したらどうでしょうか。すべてフリーにする。一切指示もしない。キャンプを本人の好きなようにやらせるわけです。オープン戦もどこで投げたいか本人に任せる。1人になって、自分で考えながら取り組ませるのも手じゃないかと思うのです。

それと、阪神に限ったことではないですが、「投げ込み」「走り込み」は絶対条件でしょうね。なにも、がむしゃらに投げろとは言ってないです。例えば、体ができてきたから数をこなす、また、いいフィーリングで投げられているから、投げ込んでみるとか。投げ込みをしないときは、走り込む。今の球界には、この「込み」の足りなさを強く感じますね。(日刊スポーツ評論家)