広島ドラフト1位の関学大・黒原拓未投手(21=智弁和歌山)が19日、兵庫・西宮市内のキャンパスで佐々岡真司監督(54)らから指名あいさつを受けた。

最速151キロの速球と、キレのあるカットボールや落差のあるチェンジアップなどを操る即戦力左腕。球団から通算707試合登板で148勝138セーブを誇るレジェンドOB大野豊氏(66)のような活躍を期待され、表情を引き締めた。

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173センチのドラ1左腕への期待はレジェンド級だ。スカウト陣に加え、前日甲子園での阪神戦で指揮を執った佐々岡監督も関学大キャンパスに足を運んだ。球団は先発だけでなく、中継ぎにも適性を見せる黒原に、先発で100勝&100セーブの177センチ左腕、大野氏の姿と重ねる。佐々岡監督は「大野さんは体が強くて、43歳まで投げた。そういう投手を目指してほしい」と、ともにプレーした通算707試合登板の鉄腕のような活躍を期待した。

黒原は大柄な監督の横で恐縮しながらも、言葉を紡ぐごとに語気の力強さが増した。「素晴らしい投手なので、少しでも近づけるようにやっていきたい。いずれは肩を並べられる投手になっていけたら」。努力する姿勢、野球に向き合う姿は、すでに広島の伝統に合う性格だという。

智弁和歌山時代は3年時の甲子園夏の大会が終わってからも、黙々と練習に取り組み、球速がアップ。関学大では1年から登板機会を得た。同3年時にはコロナ禍の影響で自粛を余儀なくされたが、母校で自主トレーニングするなど、ブランクを埋めた。「妥協しない」を貫き、ドラフト1位でプロの扉を開いた。

鞘師スカウトは「マウンドでは大きく見える。僕のイメージは中継ぎの方が入りやすいかなと思うが、先発する体力はある。馬力があるし、よく練習する」と太鼓判を押す。広島では森下、栗林とドラフト1位選手の1年目からの好発進が続いている。黒原も「目標は高い方がいいと思いますので、新人王というタイトルを目標に、これから1日1日を大切に過ごしていきたいと思います」と引き締めた。

先発か、中継ぎか、起用法は来春のキャンプから見極めていくことになる。先発では床田、高橋昂、玉村の3左腕がローテ入りし、今季合計14勝。中継ぎでは1年目森浦がチーム最多タイの51試合に登板している。ドラフト2位で三菱重工West・森翔平投手(23)も加入。新左腕王国の誕生に期待がかかる。【前原淳】

◆黒原拓未(くろはら・たくみ)1999年(平11)11月29日生まれ、和歌山・海南市出身。海南中から智弁和歌山に進学し、1年秋からベンチ入り。3年夏に甲子園出場。関学大では1年春からリーグ戦に出場。4年春は5勝1敗、防御率0・70をマークし、最優秀選手、最優秀投手、ベストナインに輝いた。最速は151キロで球種はカットボール、スライダー、チェンジアップ、スプリット。173センチ、77キロ。左投げ左打ち。