阪神岩貞祐太投手(35)はテレビに映る盟友の姿に見入っていた。8月19日、岩崎優投手(35)が4四球で自滅。不思議なほど制球がつかなかった。翌日、岩貞は「4四球は僕も見たことないな」と驚いた。だがそれ以上に感じたことがあった。
「普通、2つ3つ四球を出したら腕が振れなくなるんですよ。僕ならストライクをとりに置きにいってしまう。あいつは勝負にいってのあれでしたからね。チームを背負っている。やっぱり、すごいですよ」。
同じ大学生の先発左腕として13年ドラフトで入団。自分は1位、岩崎は6位。その後、ともにリリーフに回った。誰より互いを理解していた。だから22年オフにFA権行使を考えた。引退会見では岩崎が「ザキが残るなら俺は移籍もありかな、と言っていたのが印象的」と明かしていた。
岩貞の見立て通り、岩崎は4四球のあとも心折れることなく、ブルペンを支えた。当時、岩貞はまだ引退を決断していなかったが、タフなライバルの活躍を少し遠くに感じたのかもしれない。そんな話をしながら「最近、ファンの人がすごい励ましてくれるんですよ。プレゼントの内容もなんだか良くなってきた気が…」と笑わせてきた。最後の1日。キャッチボール相手は岩崎だった。13年にわたる2人の熱い物語も終わりとなった。【柏原誠】



