引退する阪神西勇輝投手(35)は甲子園のマウンドを心ゆくまで堪能した。

先発して2回1死を取ったところで交代となった。藤川球児監督(46)が球審から新球を受け取り、自らマウンドに歩いた。

梅野隆太郎捕手(35)と内野陣が集まった。全員とハグを交わし、笑顔でたっぷりと会話を楽しんだ。あとからこの輪に加わった指揮官は「しっかりこの時間を楽しんで」と、マウンド上で西勇に伝えたという。

同監督が内幕を明かす。

「アンパイアの方からも『ゆっくり時間を取ってください』と。ファンの方に夢を与えてくれた選手でもあるし、アンパイアの方々もすごく分かってくれて、時間を使ってくださいとおっしゃってくれたので、西にそれを伝えて。梅野とみんなでファンの方にいい姿を見せてくれたんじゃないですかね」

球審は24年目の福家(ふけ)英登(46)。この日の責任審判でもあった。

通常、マウンドでの円陣は30秒が目安。時間が近づくと球審と二塁塁審が歩み寄って終了を促す。スピードアップを奨励する流れでできたルールだが、この日はいつになっても審判は近づかなかった。

マウンドでの特別な時間は1分30秒にもおよんだ。場内アナウンス係もじっくりと待ってから投手交代のアナウンスを行った。

ゆっくりとベンチに戻った西勇はベンチ前に出てきた仲間と抱き合い、全コーチ、スタッフと握手を交わし、セレモニーの終了となった。