ソフトバンクからFA宣言した杉内俊哉投手(31)が19日、巨人入りを表明した。福岡市内の球団事務所を訪れフロントに退団の意思を伝えた。報告後は記者会見を行い、言葉を詰まらせ涙を流した。

 退団を決断した理由を聞かれると「言っていいか分からないけど、昨年の交渉の席で『FAしても名乗りをあげる球団はない』というようなことを言われた。1年、野球に集中すれば、わだかまりもなくなると思っていたけど。ただ、個人の感情的なことで移籍するのは正直、大人げないと思う。でも、感情の部分が戻らなかった」と強い口調で話した。

 代理人の酒井辰馬弁護士(45)も涙を流しながら「私は個人的にホークスファン。こういう日を迎えることが悔しい」と話し「昨年の下交渉の時点で『FAしても取る球団があるんですか』と言われて悔しい思いがした。その後の交渉で笠井社長から謝罪の言葉を頂いたが、わだかまりは消えなかった」と繰り返した。

 「昨オフの球団幹部との行き違いがなかったら、移籍することはなかったのか」と聞かれた杉内は「それがすべてではないけど、(移籍を決断する)きっかけにはなった。柴原さんみたいな引退セレモニーを(福岡で)することが夢だったのに」と悔しがり、巨人の印象を聞かれると「王会長が育った伝統ある球団。今は自分の新しい歴史が始まるという思いがある」と気持ちを切り替えた。会見後に福岡空港発の航空機で東京へ向かった。