元世界3階級制覇王者ホルヘ・リナレス(35=帝拳)が5本目の世界ベルト奪取を逃した。WBC世界ライト級王者デビン・ヘイニー(22=米国)に挑み、0-3(113-115、112-116×2)の判定負け。13歳年下の若き王者に競り負け、18年5月のワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)に敗れて以来約3年ぶりの世界王座返り咲きはならなかった。本紙評論家で元WBA、WBC世界ミニマム級王者の大橋秀行氏(56=大橋ボクシングジム会長)が勝負の分かれ目を解説した。

   ◇   ◇   ◇

<大橋秀行氏の目>

珍しくリナレスが左ジャブで打ち負けていたシーンを見た。スピードでも少し王者が速く、リナレスが自らのペースに持ち込んでいくことに時間を要していたと感じた。ヘイニーの打ち終わりに左フックを狙い、何度かヒットさせていたが、一方で王者も回避する防御テクニックを持っており、倒すまでにはいたらなかった。最後まで左を制されてしまい、最終的に王者のジャッジに支持されたのだろう。

負けたとはいえ、リナレスには35歳のベテランらしい意地をみせてもらった。特に終盤は、しっかりと高くガードしつつ、倒そうとしていた姿勢が出ていた。9回に良い左アッパーをヒットさせ、リナレスらしい連打もあった。全盛期だったら勝っていただろう。既に前半、中盤のポイントで上回っていると確信していたヘイニーが逃げ切るためにクリンチで守り続けるシーンが目立ったこともあり、リナレスが追い上げた印象も強かった。倒せるチャンスもあっただけに、もったいなかった。(元WBA、WBC世界ミニマム級王者)