WWE伝統の試合形式マネー・イン・ザ・バンク(MITB)ラダー(はしご)戦が18日(日本時間19日)、米フォートワースで開催される。

05年から始まった男子ラダー戦には、中邑真輔(41)が17年以来4年ぶりに出場。17年からスタートした女子ラダー戦ではアスカ(39)が2年連続優勝を狙う。第8回の「WWEの世界」は、男女とも勝者に最高位王座への挑戦権が得られる独特な試合形式に迫る。

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フォールでも、KOでも、ギブアップでもない。MITBラダー戦の勝者は独特な形で決まる。WWEから新日本プロレス、AEWと渡り歩くクリス・ジェリコが発案。今年は男女各8人のレスラーが参加し、天井からぶら下がったブリーフケースをはしごを登って捕獲した者が勝者となる。ブリーフケースには希望の最高位王座に挑戦できる権利書が入っている。有効期限は1年。好きなタイミングで挑戦可能だ。

勝者はミスターMITB(女子はミスMITB)、権利行使は大会名にちなみ「キャッシュイン」と呼ばれる。王者が激戦を終えた後、また負傷した際に権利行使されるケースが多い。固いブリーフケースの攻撃も可能なことからMITB勝者はヒール的なイメージとなるものの、好きなタイミングで王座挑戦できる権利書の保持は王座を狙う上で非常に有利。出場志願する選手のために予選も開催されている。

「キング」の王冠の獲得を契機に注目度を上げている中邑はスマックダウンに昇格した17年に日本人初出場を果たした。今年はバロン・コービンとの予選を制し、4年ぶりに出場権を手にした。「俺はこの機会を待ち望んでいた。WWEキングの俺がMITBブリーフケースをつかむ」と王冠に続き、権利書の獲得に貪欲な姿勢を示している。

また17年から始まった女子ラダー戦では、アスカが2年連続優勝を狙う。コロナ禍のためにWWE本社で開催された20年には社内で縦横無尽に戦ってブリーフケースをゲット。アジア人初のMITBラダー戦優勝を果たした。当時のロウ女子王者ベッキー・リンチが妊娠発表&欠場を受け、そのままロウ女子王者に認定された。MITBラダー戦の連覇&複数優勝は男女通じてCMパンクただ1人。アスカは史上2人目&女子初のV2を目指す。

今年の男子ラダー戦は中邑、セス・ロリンズ、ケビン・オーエンズ、ドリュー・マッキンタイア、ビックE、リコシェ、ジョン・モリソン、リドルが出場。女子ラダー戦にはアスカ、ナタリア、ナオミ、アレクサ・ブリス、ニッキー・アッシュ(クロス)、ゼリーナ・ベガ、リブ・モーガン、タミーナがエントリーされた。実力者ぞろいのメンバーが入り乱れる激戦を制するのは誰になるのか。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)