最後まで自分の相撲を貫いた。琴勇輝は勢を攻め立て、最後は引き落としで12勝目を挙げた。1横綱2大関撃破が評価され、取組前に殊勲賞の受賞が決定。初の三賞に花を添え「めっちゃうれしいです! 何も考えずにここまで来ましたけど、もう終わったので笑っていいですか?」とおどけ、喜びを爆発させた。

 会場では弟彦起(げんき)さんが見守っていた。琴勇輝が13年九州場所で大けがで途中休場するまで、埼玉医大に通う学費を工面してくれた。だが兄のために、特待制度で大阪の専門学校に再入学。専攻はリハビリテーションになった。琴勇輝は「自分のことを思ってくれるだけでもうれしい」という自慢の弟へも、勇姿を届けた。

 敢闘賞候補にもなったが、伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)から立ち合いで手を付かないことを指摘され、選出には至らなかった。「悪いところは直していく。一生懸命頑張っていきたい」。来場所は新関脇が確実。まだまだ暴れるつもりだ。