小結若元春(29=荒汐)が全勝だった翠富士に土をつけ、三役で2場所連続の勝ち越しを決めた。

小兵をつかまえ、押し倒しで8勝3敗とした。新三役だった先場所は14日目に勝ち越し、最終的に9勝6敗。今場所は早々に勝ち越し、2ケタ白星へと目標を上方修正した。勝ち続ければ、初優勝も見えてくる。1敗の翠富士を2敗の大栄翔が追う展開となった。

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若元春が三役の意地を見せた。右かち上げの立ち合いから、16センチの身長差を生かし、171センチの翠富士にじりじりと圧力をかけた。左へ動いて肩透かしを仕掛けてきた10連勝中の相手を逃さず、体を預けて押し倒し。「体が小さくても立ち合いが軽い相手ではなかったので、しっかりと当たりたかった。小結という看板を背負っているので、2ケタぐらい勝たないといけない」。昭和以降で初の横綱、大関不在場所で、平幕の快進撃を止めたい使命感にあふれていた。

力がついた実感を問われると「実感はない。毎日必死に取っているので、自信を感じる余裕もない」と謙遜した。4場所連続勝ち越しは成長の証し。さらに三役で2ケタ白星となれば、大関とりの起点となる上、来場所の新関脇昇進も見えてくる。何よりも勝ち続ければ、今場所での初優勝もあり得る。「三役として最低限、それ(2ケタ白星)を目指していかないといけない」。翠富士を止めた勢いで突き進む。