日本ポニーベースボール協会は50周年を迎える今年度も、各協賛会社と協力して「ポニーリーガー応援プロジェクト」に取り組んでいる。経済支援もその一環で、グラブやスパイクを支給する大倉グループプレゼンツ「ポニーファミリーサプライ用品給付制度」は4年目を迎える。プロジェクトに込めた思いなど、HESTA大倉会長室の鬼塚友章室長(52)に聞いた。

【大倉グループ「サプライ用品給付制度」】

「サプライ用品給付制度」は、不動産業を中心に地方創生を目指すHESTA大倉の清瀧静男代表取締役CEO兼COO(48)の発案で2021年(令3)からスタート。野球人口の減少傾向に、コロナ禍が追い打ちをかけていた時期だったこともあり、大阪・近大付時代に外野手として2度甲子園に出場した清瀧氏の球児への思いは深かった。経済的に硬式野球を断念する選手を支援するため、一定の家計基準の対象選手の申し込みに対し、ポジションと投げ方に合わせたSSK社の硬式用グラブかミット、サイズに合わせたスパイクの引換券を贈った。3年目の昨年も約70件の支援が行われた。

グループを代表して、3月に沖縄で行われた全日本選抜大会を視察した鬼塚氏は、白熱した試合に目を細めながら、各チームが遠征費用をかけて全国大会に臨む様子も目の当たりにした。「何かもっと我々も頑張っていきたいですね。貢献しがいのある事業だとあらためて感じた次第です」とポニーリーガーへの応援意義を確信したという。

毎年、感謝をつづった手紙が同社に届く。「提供したグラブを大事にしてくれているんですね。ていねいに手入れをしたり、物に対して誠実に接することは、野球以外の場面でも生かされている気がします」という鬼塚氏も、小学生のころに使った剣道の防具を今も福岡の実家に保管している。「帰ったら陰干しして、捨てられないんですよ(笑い)。当時の汗も涙もにじんでいるし、道具はやっているうちになじんで体の一部になって、技量も少しずつ上達した。自分の成長の証しみたいで、当時のことが思い出されたり、不思議な力があります」と懐かしんだ。競技の違いはあるが、スポーツマンシップにあふれた人たちの思いが、ポニーリーグを後押ししている。

◆鬼塚友章(おにづか・ともあき)1971年(昭46)11月1日生まれ、福岡県出身。95年、警察庁入庁。警視庁、長野県警、神奈川県警など勤務を経て、警察庁警備局警護室長、警視庁第一方面本部長、内閣官房内閣情報調査室国際第一部主幹、内閣官房国家安全保障局参事官、奈良県警察本部長を歴任。22年12月に株式会社大倉(現株式会社HESTA大倉)入社。会長室長として携わり、社業全般に、複数の新規開発案件のプロジェクトリーダーを務める。

 

【奨学金 遠征費助成 肩肘検診で選手応援】

○…「ポニーリーガー応援プロジェクト」はコロナ禍により、一部活動を控えていたが、MLBなど野球で海外挑戦する選手を対象にした「夢果てるまで給付型奨学金」、NPBを目指す選手対象に「目指せNPB給付型奨学金」を準備。マルハン北日本カンパニーの韓俊社長が支援する野球と学業の文武両道で海外留学する選手対象の「韓俊グローバル人材育成給付型奨学金」、同協会が遠征費を負担する「全国大会遠征費助成制度」などがある。経済支援だけでなく、全選手の故障防止を目指す「肩肘健診」もプロジェクトの1つになる。