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評論家

藤田俊哉ノート

藤田俊哉ノート

◆藤田俊哉(ふじた・としや)MFとしては史上初の100得点を達成。幅広い経験をもとに独自の 視点を生かした評論を「藤田俊哉ノート」と題し、これからの日本サッカーのあるべき姿や、代表戦での勝負を分けたプレーの分析を読者に届けます。 欧州での指導者業挑戦のため中断した「藤田俊哉ノート」がブラジルW杯で復活。

王国酔わせたメンタルの強さ


 サッカー王国を感じさせる開幕戦だった。ブラジルに入って約1週間。意外と、W杯の雰囲気をあまり感じられなかった。空港でも町中でも、サッカー一色という感じではない。後から聞くと、社会的事情でストやデモが多く、そういう人たちを気遣って、感情をむき出しにできず、W杯自国開催を素直に喜べないのが現状らしい。

 その中でも、開幕のスタジアムは素晴らしかった。そこはやはり、サッカーの空間で、王国を感じさせられた。超満員で膨れ上がった会場に、ほとんどの人がカナリア色のユニホームで集まった。大きなシアターにこだまする歓声を経験できてうれしかった。

 ファンが着ていたユニホームの多くがネイマールのもの。ピッチ上では、その彼が輝いていた。先制されてからの同点弾、その後に得たPK。世界中から注がれる視線を感じたはずなのに、その重圧に打ち勝って決めた。逆転してからは遊び心あるプレーも生まれた。観客を魅了する技を披露する余裕もあり、王国に初戦勝利をもたらした。

 ネイマールは鳴り物入りでバルセロナに移籍。欧州初挑戦となった今季は、メッシとのコラボレーションに期待は高まったが、チームは無冠と、クラブでは活躍できなかった。しかしセレソンになると、まったく別のメンタルが生まれたような、強さがあった。

 W杯で評判通りの活躍ができず、舞台を去ったスターはたくさんいる。しかし彼は自らの力で、スーパースターの道を歩み出した。独特な間合いのドリブル突破と、一瞬で前を向くトラップなど、サッカー通の国民を酔わせた。さらに、右足FKという武器があるだけに、この先が楽しみだ。(元日本代表MF)

















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