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OGGIの「毎日がW杯」

OGGIの「毎日がW杯」

荻島弘一(おぎしま・ひろかず):1960年(昭35)東京都出身。84年に入社し、スポーツ部勤務。五輪、サッカーなどを担当して96年からデスク。出版社編集長を経て05年から編集委員として現場取材に戻る。

なりふり構わず「勝ち」にこだわるオランダ


 ベスト4には、強いチームが残った。W杯の「顔」といってもいい豪華な代表チーム。過去優勝5回のブラジルに、3回のドイツ、2回のアルゼンチン。オランダは優勝こそないが、これまで決勝進出3回の「常連」だ。優勝経験のあるフランスが2回、スペインが1回しか決勝の舞台を踏んでいないから、オランダの方が安定感では上といえる。

 ただ、オランダは過去3回とも準優勝に終わっている。クライフが全員攻撃全員守備のトータル・フットボールで旋風を起こした74年大会は、決勝で地元西ドイツに逆転負け。続く78年大会も地元のアルゼンチンに敗れ、2大会連続で「引き立て役」となった。32年ぶりの決勝で悲願達成を目指した前回もスペインに延長の末に惜敗。「ここぞというところで勝負弱い」イメージのままだった。

 今回のオランダは違う。1次リーグ初戦ではスペイン相手に5バックで対抗。「攻撃のオランダ」を捨てて「堅守速攻」に徹し、大勝した。ファンハール監督の采配はさえ渡り、準々決勝では「PK戦用GK」まで使ってコスタリカに勝った。今のオランダには、ドイツのような「強さ」を感じる。

 もともと、オランダはパワフルだ。柔道家のアントン・ヘーシンクやK-1のピーター・アーツを生んだ格闘技王国。恵まれた体格を生かしてロングパスをズバズバと決める。好戦的な国民性を生かして、攻めまくるサッカーが武器。しかし、今回は「勝つこと」にこだわっている。

 今年2月のソチ五輪。オランダのスピードスケートチームは28個ものメダルを獲得した。これまでパワーとスタミナを生かした長距離種目は強かったが、短距離は苦手だった。しかし、ソチでは短距離陣も次々と金メダルを獲得。スケートの「オレンジ軍団」が大会を席巻してみせた。期待された日本は惨敗だった。

 スケート王国のオランダだが、五輪に向けてプライドを捨てた。日本など他の国の滑りを学び、それを生かした。自分たちの武器だった「パワースケーティング」を見直して「テクニカルなスケーティング」を身につけた。すべては勝つため。勝負弱さと決別し、勝ちきるためだった。

 スケートのメダルラッシュに、オランダのメディアは「W杯も優勝だ」とお祭り騒ぎになった。スケートとは何の関係もないサッカー。ソチ五輪の成績がW杯に影響することもないと思うが、そうでもない。

 なりふり構わないスケートの成功に、オランダ国民は「勝つこと」の大切さに気付いたのだろう。自分たちのスタイルと決別し、新しいものを取り入れ、それを勝利につなげる。スケートのメダルラッシュと、今大会の快進撃がダブる。

 準決勝はアルゼンチン。勝ち上がればドイツかブラジル。アルゼンチンに78年のリベンジをし、ドイツに74年のリベンジをすれば、オランダにとって最高の優勝になる。堅守速攻のスペイン戦では「らしくない」と言われたが、勝つことですべての批判は消える。勝利にこだわり、勝つことを目指すオレンジ軍団。ソチ五輪の興奮は、ブラジルのW杯にもつながっていた。























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