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OGGIの「毎日がW杯」

OGGIの「毎日がW杯」

荻島弘一(おぎしま・ひろかず):1960年(昭35)東京都出身。84年に入社し、スポーツ部勤務。五輪、サッカーなどを担当して96年からデスク。出版社編集長を経て05年から編集委員として現場取材に戻る。

地に落ちた威信…笑顔のブラジル見たい


 ブラジルが3位決定戦でオランダに完敗した。前半3分にFWファンペルシーにPKを決められて先制されると、同17分にはDFブリントに加点された。パスを回してオランダ陣内には入るものの、ゴール前には攻め込めず。MFオスカルの個人技でチャンスは作るが、ゴールは遠かった。

 結局、終了間際にもゴールを許して0-3。「3位決定戦はやりたくない」とファンハール監督が話すなど戦意喪失気味だったオランダに、手も足も出ず。準決勝ドイツ戦の1-7に続いて、王国ブラジルの「弱さ」ばかりが目立った。

 試合を見ていて、歯がゆかった。今までも見てきたブラジルと違う。相手DFを翻弄(ほんろう)するような「遊び」もなかった。2失点後は、あきれたサポーターが帰路につく始末。王国の威信は地に落ちた。

 選手の顔に生気がなかった。ゴールされても、本気で悔しがる様子もない。淡々と90分が過ぎゆくのを待っている感じ。サポーターのブーイングを浴びながらも、感情を押し殺してひたすら耐える。ベンチのネイマールも、ぼうぜんと惨状を見つめるだけだった。

 ブラジル代表は、いつも笑顔だった。DFをあざ笑うような技巧で抜き去り、簡単にゴールをきめた。美しいパス回しで相手選手を振り回し、刺激的な一発で息の根を止めた。丸いボールに魔法をかけて、見ている我々を魅了した。

 かつては、試合に負けても堂々としていた。「勝ち負けよりも、ブラジルらしい試合」ができれば、満足だった。今でも史上最高と呼ばれる「黄金のカルテット」の82年大会代表。2次リーグでイタリアに敗れたが、その攻撃的なスタイルは国民から称賛された。

 「勝利」が重視して、守備的なスタイルで戦ったこともある。94年大会は「つまらないサッカー」と批判もされたが、優勝を手にした。優勝すれば、国民も批判を忘れる。ブラジルにとって「勝利」と「美しさ」は代表の両輪なのだ。

 今回は、大会前から「美しさ」よりも「勝利」を重視したチームだった。守備に重心を置いたスタイルに起きた「つまらない」の批判は、優勝で打ち消されるはずだった。ところが、今回の代表はネイマールのプレー以外は美しさを感じさせず、強くもなかった。

 選手に笑顔はなかった。試合前に涙、勝って涙、負けて涙…。「優勝」のプレッシャーが強すぎて、最後までブラジル「らしさ」は見えなかった。ホスト国だけが理由ではない。50年の「マラカナンの悲劇」から64年間の国民の思いが、すべて選手にのしかかった。想像もできない重さが、選手の動きを止めた。

 日本人にサッカーの楽しさを教えてくれたのは、ブラジルだった。日本リーグ時代、セルジオ越後やネルソン吉村らの「超絶テクニック」は、サッカー少年の憧れだった。80年代後半にはラモスやオスカーが「やっても、見ても楽しい」プレーを披露した。Jリーグが誕生すると、ジーコ、アルシンド、レオナルド、カレカ、ポンテ…。多くの子どもがプレーをまねし、サッカーを好きになった。

 多くの南米選手が欧州へと渡り、両者の間に差がなくなったといわれる。しかし、それでもブラジルはブラジル。いつまでも「らしい」サッカーで魅了してほしいと願う。楽しそうにボールと戯れ、ゴールを決める笑顔のサッカー。開催国のプレッシャーがないロシア大会では、そんなブラジルが見られるだろうか。























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