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OGGIの「毎日がW杯」

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荻島弘一(おぎしま・ひろかず):1960年(昭35)東京都出身。84年に入社し、スポーツ部勤務。五輪、サッカーなどを担当して96年からデスク。出版社編集長を経て05年から編集委員として現場取材に戻る。

メッシ厳し…ミュラー弾次第 W杯得点王


 決勝進出チームが決まると、大会も大詰め。優勝チーム予想とともに、得点王争いに注目が集まる。準決勝終了時でロドリゲス(コロンビア)が6点で1位、ミュラー(ドイツ)が5点で続き、4点のメッシ(アルゼンチン)が追う。

 敗退したロドリゲスは6点止まり。ドイツのミュラーとアルゼンチンのメッシが決勝でゴールできるか。ともに厳しくマークされるのは間違いない。大会は決勝トーナメントに入って堅い試合が多く、得点数も減少(準決勝のドイツは例外だが)。どちらも、大量得点は望めそうにない。

 以前は同点だと全員が受賞したが、06年大会からはアシスト数で決める。それも並ぶと出場時間。ロドリゲスは2アシストだから、3アシストのミュラーは1点で逆転得点王。1アシストのメッシは2得点1アシストでロドリゲスに並ぶが、出場時間が長いため及ばない。となると、現実的にミュラーがゴールするかどうかにかかってくる。

 得点王になるのは、ベスト4以上が有利。準々決勝敗退は5試合、準決勝に進めば7試合あるからだ。さらに、圧倒的に有利なのが3位決定戦に回ることだ。

 3位決定戦は決勝戦の倍ゴールが入る。決勝は勝利を優先して相手のエースを徹底マーク。得点王どころではなくなる。しかし、3位決定戦は別名「得点王決定戦」。もともとオープンな試合が多く、チームが得点王をとらせようとボールを集める。「勝利」とともに「賞」が優先される。

 過去延べ27人(FIFA発表)の得点王の成績を見ると、優勝6人、準優勝4人、3位11人、4位2人、8強3人、1次リーグ敗退1人。4点で得点王3人以上の34年と62年大会を除くと、延べ18人。内訳は優勝3人、準優勝3人、3位9人、4位1人、8強1人、1次リーグ敗退1人。3位決定戦の有利が分かる。

 もっとも、今回は3位決定戦から得点王は出そうにない。ブラジルは4ゴールのネイマールが負傷離脱して「候補」なし。さらに、オランダのファンハール監督は準決勝敗退後「3位決定戦は無意味。やるべきじゃない」と発言した。

 休養が1日少なく、120分戦った準決勝の疲労も大きい。「やりたくない」気持ちは分からないでもないが、この期に及んでという感じもする。3位決定戦の開催意義は以前から論じられてきた。しかし、実施は大会前から決まっていたこと。指揮官が戦意を喪失しては、高い入場券を買ったファンはたまらない。まあ、思ったことを何でも正直に口にするから、過去指揮したクラブでもめているのだろうけれど。

 オランダのロッベンとファンペルシーも現在3ゴールで、ハットトリックすれば受賞の可能性もある。しかし、モチベーションが上がらなければ難しい。逆にブラジルは「最後の意地」を見せるはず。62年チリ、90年イタリア、06年ドイツと3位決定戦に進んだ過去のホスト国はいずれも勝って3位になっている。

 得点の話でもう1つ。クローゼ(ドイツ)が準決勝で通算得点を16とし、15点のロナウド(ブラジル)を抜いた。正直「そんなに取っていたの?」という気にもなる。印象に残るゴールが少ないからだ。02年1次リーグのサウジアラビア戦で8-0大勝の時にハットトリックしたのが強烈な記憶に残るぐらいだ。

 1次リーグでの得点が多い。16点中11点。勝ち上がるにつれて得点が減り、準決勝以降では今大会のブラジル戦が初ゴールだ。それも7得点のうち1点だけ。通算15得点のロナウドは準決勝で2点、ドイツとの決勝でもクローゼの前で優勝を決める2得点した。14点で歴代3位のG・ミュラー(ドイツ)も準決勝2点、オランダとの決勝戦でも決勝点をマークしている。

 頭や足でワンタッチゴールする。自ら相手を崩すのではなく、いいポジションにいるのだ。それもストライカーとしては大きな武器だし、天性の才能。例えはおかしいけれど「ドイツの武田修宏」と言えば分かりやすいか。武田も天性のストライカーだったが、なぜか印象に残るゴールが多くなかった。ここぞという場面では、いつもカズやラモスに持って行かれた。

 クローゼにはぜひ、決勝でゴールを決めてほしい。ドイツを応援しているわけではないが、下馬評では圧倒的にドイツが有利と見られている。ならば、クローゼの一発に期待。「どうしてそこにいるの?」でいいから、記録にも記憶にも残るゴールを決めてほしい。

















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