2020年東京オリンピック(五輪)で行われる聖火リレーで、大会組織委員会は五輪発祥の地・ギリシャで採火した聖火を日本で初点火する場所を、東日本大震災の被災地とする案を検討していることが4日、大会関係者への取材で分かった。

 東京電力福島第1原発事故の影響が残る福島、大津波で多くの犠牲者を出した宮城、岩手の3県にまず聖火を「鎮魂の火」としてくべる計画だ。

 聖火リレー本番に入る前に行うもので、五輪では異例の試み。東京五輪を招致した当初の根拠である「復興五輪」の大前提に立ち戻り、東北の被災3県を最大限、尊重するためのもの。組織委の森喜朗会長は先月23日の聖火リレー検討委員会後、「東北が出発地でない場合に何があるのか。例えば多くの犠牲者に対して鎮魂のようなことができないか」と、東北に寄り添う発言をしていた。

 3日に森氏が安倍晋三首相と会談した際、被災3県のリレー日数は3日間と報告したが、「鎮魂の火」計画では、その日数に含まれない。震災から9年となる20年3月、聖火の到着とともに文字通り「復興五輪」をスタートさせたい考え。

 ランナーがトーチを持って走る聖火リレー自体の出発地は最終調整中。9回の会合を重ねた同委員会では、桜前線とともに聖火を北上させる意見が数多く出ており、南方が有力視されている。64年の東京五輪では沖縄が出発地だった。

 組織委はいずれも10日に初開催する予定の政府、東京都、全国知事会の代表者らで構成する「聖火リレー調整会議」で了承を目指している。