茨城・新利根川の日刊スポーツ共栄会「松屋」(松田健一代表=66)で、バスプロ茂手木祥吾氏(45)が“難しい”とされる春先のブラックバスフィッシングに挑んだ。三寒四温と呼ばれるこの時季は気温の寒暖差が大きく、必然的に水温もその影響を受ける。バスに限らず魚は、水温の乱高下で活性が低くなる。茂手木プロならではの経験から導き出した戦略で、価値ある1匹をゲットした。

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新利根川ではただでさえ“難しい”とされるこの時季に加え、取材前日の雨で水も濁った。茂手木プロをして「条件としてはかなり悪い」と苦笑。過去の経験や当日の気温、風予報などから戦略を練り、導き出した答えは「まずは中流を攻めて、ダメなら下流を攻めてみましょう」。

「朝方は浅場を攻めるのがバスのセオリー」と茂手木プロ。ルアーはミミズを模したワーム「スティーズ ネコ ストレート」を選択。理由を「真ん中に針を掛けることで、引いたときに餌となっているエビのような動きを演出できる」と説明した。だが、反応がない。その後、エビを模した「スティーズ ホグ」の10センチほど下にオモリをつけ、川底をたたいて誘う作戦に変更するとファーストバイト。だが、これはルアーをくわえただけだった。「今日は厳しいので、今のを掛けられなかったのは痛いかも…」。

追い打ちをかけるように、地震も発生。「地震があると魚が釣れなくなるんです」。その言葉通り反応自体少なく、厳しい状態が続いた。中流に見切りを付け、下流のスノヤワラに挑むが、ここでも反応は乏しかった。

昼食を取りつつ作戦を練り直す。「片道1時間かかるかもしれないけど、上流で勝負しましょう」。真珠ダナと呼ばれるポイントの手前に水門があり、田んぼからの水が流れ込む。「餌となるミミズやエビなどが流れてくるのでバスも待っているはず」。だが、この日は勝手が違う。「水が悪い」。そういうとサオ先で水面を泡立たせた。「泡が消えないでしょう。水がきれいだとすぐに消えます」。同所に見切りを付けると、さらに上流で逆ワンドの岸際ギリギリを「スティーズ ネコ ストレート」で攻めた。ラインを木の枝に掛け、水面ギリギリで誘うと、これにバイト。38センチとやや小型だったが価値ある1匹となった。「逆ワンドで流れがなく、太陽の光で水温も上がりやすい。さらに、流れがないので(悪い水が)沈殿して水質も良くなる。あえて枝に掛けて水面を狙った。バイトの瞬間にバスが枝を越えることもあるけど、今回は越えなくて取り込みにちょっと手を焼いたけど、取りあえず上げられてよかったです」。この後、さらに上流でもう1匹を掛け、この日は2匹のヒットとなった。

「今日のようなコンディションは春先によくあること。ゴールデンウイークから梅雨に入るあたりまではこんなことが繰り返されますが、これがこの時季の難しいところ」と茂手木プロ。「(この時季)バスは産卵期ですが、水温が上下すると活性が下がり、目の前にルアーを落とさないと食いつきません。今日もいろいろ試したけど、ワームでシェイクの誘いが有効でした。1匹釣れればOKくらいの気持ちで、その日の正解を導き出すために根気よくいろいろ試してみてください」と続けた。また、バスフィッシングの魅力を「全て自己判断なので、狙った通りに釣れると楽しいですよね」とほほ笑んだ。

松田代表は「今日は条件が厳しかった」とし、今後狙うべきポイントは「川筋の上流がいい。上流のアシ際を丁寧に攻めてみてください。下流のスノヤワラは釣れれば大きいけど、厳しいです」と話した。【川田和博】

▼新利根川「松屋」【電話】0299・79・1369。受け付け5時~岸帰着17時。ローボート2000円、免許不要ボート3000円、14フィートボート3500円、エンジンボート7000円&9000円。バッテリー1000円、エレキ2000円。2人の場合はプラス1000円。価格は全て1日。昼食が取れる食堂も営業中。※詳細は電話でご確認下さい。

◆日刊スポーツ共栄会でバスを狙える船宿▼亀山湖「ボートハウス松下」【電話】0439・39・2926▼三島湖「ともゑ」【電話】0439・38・2544▼相模湖「柴田」【電話】070・3660・6363▼芦ノ湖「うえ乃」【電話】0460・84・8471▼河口湖「ハワイ」【電話】0555・76・7629▼西湖「白根」【電話】090・4917・4480▼精進湖「湖畔荘」【電話】0555・87・2003