釣り特集面の新春企画として夢の初共演が実現! “アニキ”こと俳優の哀川翔(61)と、“大魔神”こと本紙野球評論家の佐々木主浩氏(54)が、神奈川・八景「太田屋」(太田一也船長=54)でコマセマダイ釣りに挑戦した。日刊スポーツ釣り特集面が誇るツートップだが、意外にも2人で釣りをするのは初めて。技巧派の大魔神と、とにかく“もっている”アニキ。めでたい尾頭付きゲットなるか?

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取材当日、太田屋に到着すると「昨日、マダイが船中ゼロで…」と浮かない表情の一也船長。アニキは「釣れるところに連れていってよ!」と冗談交じりに迫った。実はアニキ、昨年の新春企画でも太田屋でマダイに挑戦したが、ワラサのみに終わっている。今年こそはリベンジしたいが、「マダイ狙いでまともに釣れたことがないんだよな~」と珍しく弱気。だが、その背中からは「絶対に釣ってやる!」と言わんばかりのオーラが出ていた。一方、大魔神は「2日続けてはない」と強気。アニキも「逆に期待できるかもね」と続けた。

技巧派の大魔神は、渋さ対策でハリスを細めの2・5号10メートルでスタート。だが、2人にまず猛攻を仕掛けたのはフグだった。ハリスを切られた大魔神は「これはヤバイぞ」。アニキも針を取られると、周囲はフグだらけとなり、ポイント移動を余儀なくされた。だが、次の場所でも最初のアタックはフグ。「潮が止まればフグは動かなくなるはず。そこが勝負どころ」と大魔神は冷静だった。

実際、潮止まりの約20分後、大魔神のサオにアタリが来た。「ん~、タイっぽくないな…」。だが、途中でマダイ特有の引きを感じると「タイかもしれない」。ハリスを手繰ると、「浮いてきている。間違いない」。上がったのは大魔神の手のひらサイズの本命。珍しく「良かった~!」と安堵(あんど)の声を漏らすと、「船長釣れたよ~!」と叫んだ。

その約20分後、アニキのサオがグンと海面に刺さった。「来た!」。ガッツポーズまで飛び出したが、途中で抜けた。「どこで抜けたのか分からなかった。頼むよ~。これはもう、腹ごしらえだな」。そう言っていなりずしをほおばった瞬間、再びサオ先が海面に沈んだ。「●×※!」。おいなりが口に入っていたため叫べなかったが、大魔神のタモ入れで上がったのは1・6キロの良型。2人はエアハイタッチを交わした。

食いが渋くなると、ケイムラパイプを挿したり、仕掛けを12メートルに変更したりと、持てる引き出しから状況に合った正解を導き出し、確実に釣果に結び付ける大魔神は、順調に数を伸ばしていった。一方アニキは、用意した食事をほおばるとアタリが来る日となった。「こんなジンクス作りたくないよ」と笑ったが、3度ほおばりアタリは100%で2回取り込んだ。

そしてドラマは、またもや終了10分前に起こった。アニキが置きザオに念を送るポーズを繰り返すと、本当にサオ先がしなったのだ。「来た、来た! 最後に来たよ!」。やりとり中にグンともっていかれると「翔さん、ドラグを緩めて」とタモを持った大魔神がアドバイス。「これがタイなら、うれしいな」とハリスを手繰るアニキに、「間違いない。浮いてる、浮いてる」と大魔神。本命がタモに入ると、アニキは「よっしゃ~!」とガッツポーズ。大魔神は「もっている! 最後の最後だもん」と舌を巻いた。ふたを開けてみれば大魔神は最大1・6キロ含む7匹、アニキは3匹で船中は15匹。前日の船中ゼロはどこ吹く風となった。「釣ったね~!」と2人は声をそろえ、「今年も頑張るぞ~!」とアニキは気合を入れた。

「プレッシャーが半端じゃなかった。本当に釣れてよかった」。尾頭付きの大漁に最も安心したのは、実は一也船長だった。

【川田和博】

■アニキのドラマ演出したのは大魔神

大魔神とアニキの釣り共演は意外にも初めて。釣りのスタイルは対照的。マグロやクエなどの大物釣りを得意とし、ひたすら本命を狙う大魔神に対して、アニキは五目釣りを得意とし、魚種を問わず釣るタイプ。また、どんな魚種でも仕掛けは自分で作る大魔神に対し、アニキは主に市販を使用している。スタイルこそ違うが、共通点は心から釣りを愛していること。大魔神もアニキも、途中休憩することなく、毎回時間いっぱいまでサオを出し続ける。大魔神は午前船から午後前に乗り込んだこともある。アニキはタイムリミットが迫ると「延長はできないかな?」と笑うほどだ。

それにしてもアニキは“もっている”としかいいようがない。ほぼ毎回ラスト10分で、今回のように釣果を上げている。だが今回のラストを演出したのは、実は大魔神かもしれない。最後の一投前に仕掛けが絡んでしまったアニキに、自作の仕掛けを渡したが、それまで8メートルを使っていたアニキに10メートルを渡したのだ。

いずれにせよ、初共演した2人が楽しそうに釣る姿が印象的だった。

◆八景「太田屋」【電話】045・782・4657。コマセマダイは出船午前7時15分、餌&氷付きで高校生以上男性1万1000円、女性9000円、中学生以下5500円。タイラバ&テンヤもスポットで出船。その他、ルアータチウオ(テンヤは相談)、半日LTアジも受け付け。仕立ても応相談。いずれも、詳細は電話で確認を。