今月に解禁したばかりの山梨・西湖のヒメマスが好釣だ。「白根」(渡辺安司店主)では解禁初日から連日、制限匹数の30匹を記録している。猛暑・酷暑が続いた一昨年、昨年と違い、雨量が多かったため、活性が高い。ゴキゲンなヒメのご尊顔を拝むなら、今ですぞ。同時期に解禁したワカサギも数が伸びている。ともに12月31日まで楽しめる。
★制限30匹続出
「今年は魚影が濃いね」。ヒメマス狙いの釣り人たちからこんな声が聞かれた。ボートに取り付けた魚群探知機(魚探)にもびっしりと反応が出ている。おヒメ様のゴキゲンはすこぶる良好らしい。
取材当日、制限匹数が6人いた。午前10時30分には「予定数終了」の第1号として、大倉賢治さんが上がってきた。「こんな時間に上がった経験はあまりないよ」。最大32センチを含め、午前6時の出船から約4時間、漁協前でタナ(魚の遊泳層)約20メートルでサオを出して30匹。紅サシをエサにした胴突きトローリングで最初からポツポツ食ってきた。「32センチは途中で食い上げてきた。巻き上げている時はそんなに大きくないと思っていたが、湖面で見て慌ててタモ入れした。型も数も満足です」と笑った。
沖釣りのサバと同じく、フッと食い上げて軽くなり、釣り人をたぶらかすのがヒメの特徴。ここで油断すると仕掛けをグチャグチャにされてしまう。同じく30センチを上げた古屋孔二さんも、この食い上げを見破った。「曲がっていたサオ先がピンッとまっすぐに立った。でかいのが食い上げたと思い、リールをガンガン巻いた」と振り返った。
★オモリ30号で
尺(30センチ)超えも含め、平均20センチ前後と今季のヒメは型がそろっている。東から絶えず湖面にそよそよと吹いていた風を利用した本田晃基さんは、漁協前から青木ケ原キャンプ場前にかけて風に任せてボートを流して誘った。オモリは釣り宿推奨の50号ではなく、30号と軽めにした。これにより仕掛けが水中でフワリとたるませられる。流しと誘いがヒメのタイプに合ったのだろう。「水深15~20メートルで魚探に映った中、小規模の群れが頻繁に食ってきた。昨年から始めて、初めて制限に達しました」とこちらも満足そうだった。
今季は試し釣りの段階から評判が高かった。解禁前の9月25日、地元漁協のメンバーとしてサオを出した渡辺店主は午前6時30分から9時までに15~25センチを26匹。ほかの人もよく似た釣果で、魚影の濃さと活性の高さは際立っていた。気まぐれなヒメにとって、猛暑だった一昨年と昨年は条件が厳しかった。水温が高く、食いが落ちた。「今年はお盆過ぎから9月にかけて雨が多かった。山にしみ込んだ地下水が湖に入り、一気にヒメマスのスイッチが入った。過去2年間釣り残した魚がいる分、密度も濃い」と、好釣の理由を説明した。
気にくわない要素があると、すぐご機嫌ななめになってしまうヒメを振り向かせるために、仕掛けを工夫している人もいた。釣り仲間だという天野久さんと篠ケ谷学さんは、6本針のウィリーとエサを交互にした。推奨仕掛けのウィリーをナイフで削り、紅サシを付けた。「日によっても、1日のうちの時間帯によってもどの針に食うかは変わるので、当たりのウィリーの色を見つけては巻き替えていた」(天野さん)。ウィリーはピンク、オレンジ、赤、白が4本柱だという。
水温約20度と高い現在は水深15~25メートルと、ヒットレンジにバラつきがある。周囲の山々が色づき始めて10度まで下がれば、ヒメの適水温。水深20メートル前後で群れは固まる。ヒメとの「お戯れ」は、これからトップシーズンを迎える。【赤塚辰浩】
◆ヒメマス
サケ科ベニザケの陸封型。湖や沼に生息する。原分布は北海道やカムチャツカ半島、北米太平洋岸など。日本の原産地は北海道の阿寒湖、網走川上流のチミケップ湖。20世紀初頭に卵が青森・十和田湖、栃木・中禅寺湖、山梨・西湖、同・本栖湖、長野・青木湖、神奈川・芦ノ湖などに移植された。冷水を好み、群れで遊泳する。3~4年で成魚となり、体長30センチほどになる。
■おヒメ様ゲット アドバイス
◆風の日を選べ 無風より、曇天で風があり、さざ波が立つような状態の時の方がヒメマスの警戒心が薄れる。
◆ボートを揺らす 風や波が少しでもあれば自然に揺れるが、快晴無風でベタナギの場合、自分の体を左右に揺らして仕掛けを上下させると、誘いになる。
◆二刀流でタナを探れ 1本で15メートルのタナを探ったら、もう1本は20メートル前後にするなど、攻め分ける。どのタナで食ったかが判断できる。正確なタナ取りをするには、1メートルごとに表示の出る水深計付きのリールが便利。水深計がない場合、メジャーを使って1メートル刻みとかで道糸を出してやるといい。腕を横に目いっぱい広げた長さが1ヒロ(個人差あるが約1・5メートル)と計算すれば、13回出すとほぼ20メートルとなる。
◆合わせはソフトに ブルブルッとアタリがきたら、手首を返す程度で針に掛かる。頭上いっぱいまでの大合わせでは、口が軟らかいのでバラすことが多い。
◆トローリング サオの角度は45度ではなく、20~30度。少し速めに引くと、反応良く食ってくる。ヒメマスは、自分の動く速度の3倍のスピードで動く獲物をエサにしているとされている。
◆服装 標高が高い場所での釣りになるので、冬が近づくにつれて朝方の気温がどんどん低くなる。起毛付きトレーナー、フリースのジャケット、使い捨てカイロ、厚手のカッパの上下などで「寒さ対策」を。日中、太陽が出始めてポカポカになったら脱げばいい。
■ワカ様は底にいた!! ワカサギ 小池親子計499匹
「ワカ様」は底にいた。小池春雄さん、重晴さん親子は店前からうの木にかけてのベタ底で順調にワカサギを釣り上げた。オモリは6号、紅サシをエサにして8~9本針で探る。時折、底から1~2メートル上までゆっくり聞き上げもした。
8・5~13センチを父春雄さんが326匹、重晴さんが173匹。群れが入って活性が高くなると、落とし込みの最中でも掛かったという。「型がそろっていますし、この時季としてはまずまずの釣果ですね」と春雄さんは顔をほころばせた。
渡辺店主によると、「5~6センチとタツクリほどの当歳魚はおおよそ水深10メートル前後、10センチ以上の2年物は20メートル前後を泳いでいることが多い。この時季は群れの移動が早いですが、水温が低くなって群れが固まり始めると、タナの幅が広がって底から4~5メートルほど上まで食うようになります」という。ワカ様も秋が深まれば、より面白くなる。








