怒る側と怒られる側では意識に大きな違いがあります。

 日本アンガーマネジメント協会が行ったアンケートでは、怒られた側(部下)が「パワハラだと感じる」割合が53・8%と半数を超したのに対し、怒った側(上司)が「パワハラだと感じる」は16・7%でした。3倍以上の開きがありました。

 怒られた側は「きつい口調だった」「怒鳴るなど感情的だった」「口汚くののしった」など、感情的に怒られたことをパワハラと感じた理由として挙げますが、怒った側が感じた理由は「直接関係のない過去のことまで持ち出してしまった」など中身についてでした。

 その後も差があります。怒られた側は「仕事のモチベーションが低下した」(40・6%)、「相手を避けるようになった」(25・7%)、「精神的に不安定になった」(23・2%)と、業務に支障が出たと感じているのに対し、怒った側は「どのような状態にもならなかった」が58・7%でした。ギャップがあります。

 継続期間にも大きな差があります。怒った側は数分で感情を切り替えられたとしているのに対し、怒られた側は5人に1人が1年以上引きずったと答えています。怒った側との関係が「修復した」はわずか7・6%で、76・9%は「元の関係に戻っていない」と回答しています。

 怒っていいもの、怒ってはいけないものがあります。事実、結果に対しては怒ってもいいのですが、性格、能力、人格については怒ってはいけません。遅刻をとがめるのは構いませんが、だらしがないから遅刻すると怒るのはアウトです。性格、能力、人格を怒ると、関係を壊し、パワハラになります。