スモールマウスバス(コクチバス)を知っていますか? 淡水のルアーフィッシングの人気ターゲット、ブラックバス(ラージマウスバス)と同じ北米原産の外来種だ。ブラックバスよりも運動能力が高く、強烈なファイトを見せてくる。福島・桧原湖や長野・野尻湖でガイドをしている、フィッシング・コーディネーターで元バスプロの茂手木祥吾さん(50)にリポートしてもらった。

茂手木さんが実際に釣り上げたスモールマウスバス
茂手木さんが実際に釣り上げたスモールマウスバス

★一気に「垂直上昇」

スモールマウスバス(スモール)が、がぜんやる気を見せた。水深10メートル近い岩盤地帯などから一気に「垂直上昇」。驚きの身体能力でルアーを襲ってくる。表層でトップウオータープラグに激しくアタックし、スピナーベイトを猛スピードで追い回す。ビッグベイトにすら果敢に食ってくる。まさに「水面さく裂」だ。ヒットした後は体長以上にグイグイとラインを引っ張る。頭を振って暴れ回る。水面でジャンプする。海でシイラやシーバス(スズキ)とファイトしているようだ。


ブラックバスもいいファイトを見せてくれるが、スモールはそれ以上に気が強い。瞬発力や遊泳力に優れており、スピード感がある。濁った水、浮いている枯れ木や枯れ草の下などで緩やかな流れが好きなブラックバスに比べ、スモールは澄んだ水を好む。低水温に強く、流れがある場所で回遊する。特に避暑地としても有名で、透明度が高くて水が澄み気味の桧原湖や野尻湖などでは、その特性が色濃く現れる。


野尻湖は長野県北部にある、標高約650メートルの天然湖。40以上ある岬周りをはじめ、ポイントが点在している。福島県の裏磐梯エリアに広がる桧原湖も複雑な地形に加え、エサとなる小魚が豊富、ウイード(水中にはえている水草や藻)が多いなど、好条件に恵まれている。どちらも6月から7月にかけては、最高のシーズンとなる。


産卵後で体力を回復するために、魚の活性がどんどん上がってくる。水温も18~20度前後と安定しており、非常に釣りやすい。


★「浮く虫」「沈む虫」

この時季の代表的な釣り方は、「虫パターン」。水面に落ちた虫を意識したスモールが、激しく水面を割って食ってくる。目で見て楽しめ、非常にエキサイティングだ。


特に重要なのは、「浮く虫」と「沈む虫」の使い分け。水面で漂わせるタイプの虫に似せたルアーや、ジッタージグ、シケイダーなどで表層に浮かせる。ただし、見切られて、ルアーに反応しない場合もある。

スモールマウスバスの小さな口にスッと刺さるハヤブサ「T・N・Sオフセットフック」
スモールマウスバスの小さな口にスッと刺さるハヤブサ「T・N・Sオフセットフック」

そんな時は、スローシンキングタイプの虫ルアーが効果的。カサゴやメバルのブラクリ、ひとつテンヤのマダイを狙う際のカーブフォールの要領だ。水面直下へとゆっくり沈んでいく動きが、あと1歩で口を使わなかった獲物にスイッチを入れる。


専用のルアーがない場合でも、高比重タイプのワームで代用できる。落とし込んでいくスピードを生かしたアプローチが有効になる。


今年は酷暑が予想される。標高の高い湖とはいえ、8月になって水温がさらに上がると多くは深場へと移動する。技術を要する釣りになる。夏休みは観光や避暑のシーズンとなって、道路などが渋滞する。そう考えれば、シャロー(浅場)やトップ(表層)に積極的に出てくる今のシーズンは、スモールと出合う大きなチャンスでもある。


■スモールマウスバス(コクチバス)

北米原産。赤星鉄馬氏によってブラックバス同様、芦ノ湖に持ち込まれたが、当時は定着しなかった。ブラックバスよりも冷たい水温を好み、生息する。成魚は30~50センチ。頭部と口が大きいブラックバスに比べ、口が小さい。魚体は茶褐色。桧原湖、野尻湖といった標高の高い湖で生息が確認されている。


■ブラックバス(ラージマウスバス)

 北米南東部原産の外来種。1925年(大14)、実業家の赤星氏が神奈川・芦ノ湖に持ち込んだのが始まり。比較的温暖な止水域や緩やかな流れを好む。淡水のルアーで屈指の人気ターゲット。成魚は30~50センチ。中には60センチ超の大型もいる。緑褐色の体で、黒の縦帯が入っている。(写真)

スモールに比べて口と頭が大きく緑褐色の魚体をしているブラックバス
スモールに比べて口と頭が大きく緑褐色の魚体をしているブラックバス

■スモールマウスバスとブラックバスの見分け方


(1)背ビレ スモールマウスバスは第1背ビレと第2背ビレが連続しているが、ラージマウスバスは第1背ビレと第2背ビレが分かれている


(2)ウロコ スモールマウスバスは第2背ビレ、しりビレ、尾ビレの付け根にあるが、ラージマウスバスにはない


(3)ルアーへの反応 小刻みで緩慢な動きのルアーに反応するラージとは違って、スイスイ誘うのがコツ。ただ、その名の通りに口が小さいため食いつくのがヘタ。それでも、一度ヒットすれば、取り込まれるまで目いっぱい走る。ボートに近づくと、頭を振って垂直に引っ張るのが特徴


■日焼け対策必須

★顔や手の甲覆うパーカおすすめ

いくら標高の高い湖だからとはいえ、初夏にもなれば日差しが強い。気温以上に紫外線を受けやすく、ふだんの釣りと同じく熱中症や日焼け対策は必須だ。「吸水速乾」「UVカット」をはじめ、顔の周囲を日焼けしにくいフードや手の甲までの日焼けを防ぐフィンガーホールといった機能が充実している、ハヤブサ「フリーノット(Free Knot) UVフルカバーパーカ4」(写真)を推奨する。


帽子やサングラス、タオル、日焼け止め、スポーツドリンクなど必需品。水分はいつも以上に多めに持参しておくといい。

茂手木さんの推奨するハヤブサのフルパーカー
茂手木さんの推奨するハヤブサのフルパーカー

■【電話】問い合わせ

▽桧原湖 「ゴールドハウス目黒」【電話】0241・32・2233。電話は午後6時まで。https://gmeguro.com/

▽野尻湖 リゾートハウス「スピンネーカー」【電話】026・258・3232。https://spin-naker.com/

※バス釣りは都道府県や各漁協、各釣り場によってルールが変わるので、あらかじめ確認してください


◆茂手木祥吾(もてぎ・しょうご)1976年(昭51)5月26日、東京都練馬区生まれ。3歳のころから祖父や父に連れられ、釣りを開始。船、磯、渓流からルアーまですべてをこなす。23歳でバスプロに。12年(平24)、福島・桧原湖で行われた国内最高カテゴリーのバストーナメントで優勝。現在はフィッシング・コーディネーターとして、さまざまな釣りのイベントや企画番組などのインストラクター、実技指導をしたり、カメラマンとしてSNSや媒体でのプロモーション活動の手伝いをしている。また、釣りのガイドとしても活躍中。