<心臓・血管を若々しく保つコツ(6)>

 「ナッツは健康に良い」ことは知られています。さらに、強力にバックアップする大規模疫学調査結果が、昨年末にハーバード大学から発表されました。それは「定期的にナッツを食べていると心血管疾患(狭心症・心筋梗塞&脳卒中)のリスクを低下させる」という、うれしい報告でした。この疫学調査は32年も行われている「看護師健康調査1&2」「医療専門職追跡調査」の約21万人を対象としています。この対象者は2年ごとに健康状態などについてチェックされているのです。

 これまでに対象者の中から1万4136人が心血管疾患を発症。その発症リスクとナッツの摂取とに関連性はあるのか--その点を調べました。ナッツ28グラムを1サービング(提供量)として分析しました。すると、ナッツを「週に5サービング」摂取するグループは、「ほとんど摂取しない」グループに比べ、心血管疾患のリスクが14%低く、狭心症・心筋梗塞のリスクは20%も低かったのです。このナッツ28グラムにはアーモンド、ピーナツ、クルミ、ピスタチオなどが含まれていました。

 さらに、心血管疾患のリスクについてナッツを個々に調べました。すると、最大にリスクを下げるのがクルミだったのです。週に1回以上クルミを食べると、心血管疾患のリスクが何と19%も低下し、狭心症・心筋梗塞に限るとそのリスクは21%も低下したのです。

 クルミは塩味などつけないで食すので問題はないが、他のナッツでは塩味のついた物もあります。お酒のつまみでそれを食べると、つい食べ過ぎて塩分を取り過ぎてしまいます。その点は十分注意しましょう。(取材・構成=医学ジャーナリスト松井宏夫)