◆健康手抜きごはん

東日本大震災の後、南相馬で訪問診療に行きました。家族を亡くし、1人暮らしの男性がいました。テーブルの上には、食べかけのサバ缶がポンと置いてありました。ご飯だけ炊いて、サバ缶をおかずにしていたのです。寂しいなと思いました。

同行してくれた管理栄養士と相談し、簡単に作れる健康手抜きごはんの作り方を教えることにしました。

包丁を持つのは苦手と言うので、ちぎったキャベツをフライパンに入れ、その上に残ったサバ缶を汁ごと入れます。あとはふたをして、熱が回るのを待つだけ。最後にキャベツとサバ缶の汁がうまくしみるようにかき交ぜ、サバの身はあまり壊れないよう豪華な感じを残しておくことがコツです。

このような簡単な工夫を3つほど教えたところ、この男性の生き方は少しずつ前向きになっていきました。

米タフツ大学の調査では、魚を週2回食べる人は週1回しか食べない人に比べて、アルツハイマー型認知症の発症が41%も減少。

サバやサンマ、イワシなどの青魚には、DHAやFPAというオメガ3脂肪酸がたくさん含まれています。瓶詰や缶詰を上手に使えば、魚料理も簡単です。

■男の料理本

「医師が考える楽しく人生を送るための簡単料理『鎌田式健康手抜きごはん』」(集英社)という料理本ができました。包丁を使わず、電子レンジだけで数分で出来てしまう超簡単な健康レシピ等をご紹介しています。コロナに負けない食生活、この本で始めてみませんか。

◆テレビ、ラジオでもおなじみの医師で作家の鎌田實氏が、長引く新型コロナウイルスの感染症との付き合いで、私たちにできること、いかに困難と向き合っていくか、じっくりとお伝えしていきます。