■夫婦は同じ病気になりやすい

自分の健康は、自分だけのものと思っていませんか。実は、健康に生きていくためには、身近な人や社会との関わりがとても大事。

今回は、身近な関係である夫婦が健康にどんな影響を及ぼすのか、研究論文から考えてみます。

筑波大学の研究グループが、40歳以上の夫婦、約8万7000世帯を調査しました。その結果、夫婦ともに同じ病気になる「一致率」は、高血圧が73・2%、糖尿病と脂質異常症はともに86・5%と高い確率でした。

夫婦は遺伝的に他人ですが、長年似たような生活習慣であることが多いため、同じような病気になりやすいと考えられます。

この論文を健康づくりに生かすとすれば、例えば妻が糖尿病になったら、自分もいずれ糖尿病になる可能性があると思って、一緒に栄養士の食事指導を受けたり、運動療法を行う。夫婦で一緒に生活習慣を見直すことで、自分自身の健康も守れるのです。

■同じ健康づくりを

高血圧もしかり、高脂血症もしかりです。夫婦で、1日の野菜摂取量350グラムを目標にしましょう。野菜に含まれるカリウムが血圧を下げてくれます。高脂血症があったとしても、野菜を多くとることによって、悪玉コレステロールや中性脂肪が下がります。炭水化物の摂取量を1割減らすと、血糖値のコントロールがしやすくなります。

2人で同じ目標を持つことで、パートナーシップも生まれ、家の中の雰囲気も良くなります。

◆テレビ、ラジオでもおなじみの医師で作家の鎌田實氏が、長引く新型コロナウイルスの感染症との付き合いで、私たちにできること、いかに困難と向き合っていくか、じっくりとお伝えしていきます。