■生き抜くための工夫

「がんばらない」(集英社)がベストセラーになり、全国から講演に呼ばれるようになりました。20年以上にわたり、毎年100回以上の講演会を各地で続けてきました。

コロナ禍で、大規模イベントの開催は難しくなりましたが、健康や生き方への人々の関心はむしろ高まり、今もたくさんのご依頼を頂いています。講演会の在り方にも新しい生活様式が定着しつつあり、会場での感染対策は徹底・工夫され、オンラインでの講演会も増えています。

講演をするとき、最初と締めくくりの10分足らずの時間に、特に伝えたい思いを込めるようにしています。この全体の20%で話したいことが届けば、あとの80%は忘れてもらっても構わないというつもりです。

■残りの80%を楽しむ

しかし毎回創意工夫しているのは、残りの80%です。写真や音楽を使って、笑ったり、泣いたり、心に訴えかけるようにしています。時には、全員で立ち上がってスクワット。講演が終わるころには、「来てよかった」「聞けて良かった」と思ってもらえるように努力してきました。コロナ禍でも講演依頼が続いているのは、この80%のおかげのようにも思います。

人生においては、ここぞという時の20%頑張って、あとの80%は自由に楽しむのがいいように思います。どちらが大事か問題なのではなく、どう振り分けていくか。それが、コロナに負けない生き方として、大事なように感じます。

◆テレビ、ラジオでもおなじみの医師で作家の鎌田實氏が、長引く新型コロナウイルスの感染症との付き合いで、私たちにできること、いかに困難と向き合っていくか、じっくりとお伝えしていきます。