■メタボより怖いフレイル

2020年度から、75歳以上を対象としたフレイル健診が始まりました。人生100年時代にむけて、国は健康寿命を延ばす対策を強化したのです。

介護保険が必要になる人の36%が、このフレイル(虚弱)。驚きの数字です。認知症や脳卒中よりも、フレイルが、寝たきりの原因だということです。

そのため国は、フレイル健診を始めました。しかしよく考えてみましょう。

■ちょい太は大丈夫

中年を対象にした特定検診(通称メタボ健診)では、血糖値や血圧、コレステロール、腹囲に注目しました。国民の多くは太ってはいけないと思い込みすぎて、結果フレイルにつながっています。少しぐらい太っていてもいいのです。

フレイルの予防は、75歳からでは遅いのです。中年のうちに、タンパク質と野菜をしっかりとり、運動によって皮下脂肪や体脂肪を減らしながら、筋肉を増やす生活習慣を、身につけておくことが大事です。

メタボも徐々に改善し、高齢になってもフレイルにならず、80歳・90歳になっても、映画を見に行ったり、温泉に行ったり、ライブハウスに行ける体力を維持することができるのです。

■社会的フレイルになるな

健康寿命の3本柱は、「食事」「運動」「社会参加」と言われています。コロナに負けず、タンパク質と野菜を中心とした食生活を心がけ、運動し、3密を避けながら社会とのつながりをどうつくっていくか工夫することが大事です。

◆テレビ、ラジオでもおなじみの医師で作家の鎌田實氏が、長引く新型コロナウイルスの感染症との付き合いで、私たちにできること、いかに困難と向き合っていくか、じっくりとお伝えしていきます。