■妻のおしゃべりに負けるな

前回は「フレイル(虚弱)」のお話をしました。<1>筋肉や骨の虚弱を起こしてはいけない、<2>社会的フレイルになるな、と書きました。

社会参加が少なくなると、フレイルという虚弱が起きて、介護保険の世話になる率が高くなると言われています。

筋肉のフレイル、社会的フレイルの他に、実はもう1つ大事なフレイルがあります。口腔(こうくう)フレイルです。

■口腔フレイルになるな

仕事では会議や営業などでよく話していた男性も、定年後に話す数が激減する人が多いです。女性は一貫してよくしゃべります。女性の平均寿命が男性より6年程長いのは、口腔フレイルが関係しているかも。

2019年の日本人の死因別調査によると、第5位が肺炎です。65歳以上の肺炎のほとんどは、誤嚥(ごえん)性肺炎と言われています。口腔フレイルが命をむしばんでいるのです。

口腔フレイルを予防するためには、<1>おしゃべり、<2>お肉など硬いものを食べる、<3>歯周病の予防、<4>おでこ体操とパタカラ運動です。

パタカラ体操は、「パタカラ・パタカラ」と早口で繰り返します。簡単で効果がある予防法です。

声を出すのが恥ずかしいという人にオススメなのが、おでこ体操です。手のひらをおでこに当てて、自分のおへそをのぞき込むように首を下へ下げていきます。おでこを手のひらで持ち上げようとして首の筋肉を強化することで、口腔フレイルの予防になり、肺炎の死亡リスクを減らしてくれます。

◆テレビ、ラジオでもおなじみの医師で作家の鎌田實氏が、長引く新型コロナウイルスの感染症との付き合いで、私たちにできること、いかに困難と向き合っていくか、じっくりとお伝えしていきます。