骨粗しょう症の運動療法

前回は骨粗しょう症の治療の必要性についてお伝えしました。骨粗しょう症の治療3本柱は、運動療法、食事療法、薬物療法で、そのうちの運動療法と食事療法は、骨粗しょう症の予防にも効果があります。

ではどんな運動が効果的か。今回は運動療法についてお話しします。「骨粗しょう症の治療と予防ガイドライン2015」では、骨粗しょう症による骨折の予防や、大腿(だいたい)骨近位部(太ももの付け根の骨)と腰椎(腰骨)の骨密度の上昇には、運動療法が効果的であると報告されています。

この運動療法の目的は、骨への刺激による骨密度の上昇と、筋力・バランス力の向上による転倒の予防により、骨折を予防することです。荷重運動、筋力訓練およびバランス訓練などがあり、高齢者の場合、ウオーキング、スクワット、片脚立ち、背筋訓練、軽いジャンプ、かかと落とし訓練、太極拳などが効果的であると報告されています。

骨密度を上げて骨を強くするには、骨に少し強めの刺激が加わることが必要です。軽いジャンプ(できない人はかかと落とし)を1日30~50回行うと効果的です。転倒予防には、体幹や下肢の筋力訓練ならびにバランス訓練などが有効で、ウオーキング、ジョギング、エアロビクス、太極拳などの複合的な運動も効果的です。

このような運動療法は骨粗しょう症の改善に効果があるのですが、骨密度低下が重度の方の場合、運動強度が強すぎると逆に骨折を起こすことがあるので、強度や回数を減らして無理をしないように運動してください。