「肥満症」は、BMI「体格指数=体重(キロ)÷身長(メートル)²」が25以上、プラス肥満に起因する健康障害(糖尿病、高血圧など11疾患)が1つ以上あると、単なる肥満ではなく「肥満症」と診断されます。肥満症の診断はそれだけではなく、もう1つ判定基準があります。それは、「BMI25以上+内臓脂肪100平方センチ以上」です。
より分かりやすく紹介すると、「BMI25以上+ウエスト周囲長(腹囲)」が男性は85センチ以上、女性は90センチ以上です。この人たちは精密検査を行います。腹部CT検査で内臓脂肪面積が100平方センチ以上と確定すると肥満症と診断されます。
健康障害がなく、BMIが25以上で腹囲が基準以上ある人を、私たちは“隠れ肥満”と言っています。内臓脂肪肥満のことです。男性が85センチの腹囲だと、「ちょっとおなかが出た程度。心配ないない」と考えがちですが、そうは問屋がおろしません。BMIが25以上の男性の80~90%は、内臓脂肪面積が100平方センチ以上になっているのです。
さらに、成人男性の2人に1人は腹囲が85センチを超えています。BMIが25を超えていなくても内臓脂肪がたまっていて、次の健康障害を引き起こす前段階に来ているので、安心は禁物です。実際、こういう体系の人は洋服を着ていると、「良い体格だねー」という見られ方をして、自分自身が太っていることに気付かないのです。このような隠れ肥満の人は、皆さん、「体重の増加は健康に障害がある」ことはわかっていても、実感できていません。
体重が健康に大きな弊害をもたらす脅威であることを認識しましょう。医師から「糖尿病ですよ」と言われると、皆さん焦ります。しかし、「ちょっと体重増えましたね」という程度であれば、皆さんは「すぐ痩せますから」で終わらせてしまいます。肥満は“隠れ肥満”にすることなく、しっかり向き合いましょう。(医学ジャーナリスト 松井宏夫)
◆宮崎滋(みやざき・しげる)結核予防会総合健診推進センター所長、日本肥満症予防協会理事長。1971年(昭46)東京医科歯科大卒。東京逓信病院副院長、メタボリックシンドローム診断基準検討委員、肥満症診療ガイドライン作成委員長を歴任。肥満症の怖さ、予防の重要性を啓発。

