延長11回、最後を決めたのは梅野隆太郎のサヨナラ内野安打だ。引退試合の西勇輝とバッテリーを組んで久々のスタメンマスク。それが自身初のサヨナラ打なのだから、やはり、野球は面白い。西勇の引退セレモニーも感動的だった。

6日のこと。普段、あまり本音というか自身の考えを明かさない指揮官・藤川球児がこんなことを言っていた。「なんでこの試合が延長戦になるんや、みたいな感じでしたね」。4日DeNA戦のことだ。

3日に広島に負けながらナイターで巨人も負け、リーグ優勝が決定。そして4日朝に広島から横浜に新幹線で移動。その夜の試合だ。勝敗は関係ないはずが試合は1-1で延長に突入。結局、11回裏にサヨナラ負けを喫している。

この日もそれを思い出させるゲームだった。DeNA戦と違い、引き分け以上で全球団に勝ち越す「完全優勝」が決まるとはいえ、消化試合には違いない。それがまた延長戦。だが、そのおかげで、というのもおかしいが「これは…」と思わせる光景に気づいた。“クリーンアップ不在の近未来”だ。

前日6日もそうだったが試合の途中で大山悠輔、佐藤輝明と下がり、延長戦に入った時点で森下翔太もいなくなった。レギュラーとしての疲労を考慮すれば普通だ。それでも、この3人で主軸を組むようになってからこんな光景が続いたのは記憶にない。

思ったのは「いつかはこういうときが来るんだろうな」ということだ。以前から書いているが近い将来、こういう状況になることは十分、考えられる。その備えをどうするか。重要なことである。

補強策には外国人、FAとされるが、ドラフトで獲得した自前の戦力を育てるのが一番、いい。その面で阪神には希望の星がいる。立石正広だ。先日、前監督・岡田彰布(オーナー付顧問)は立石について「打撃を教えなあかん」と言っていたが、それは当然だろう。

この日から始まったみやざきフェニックス・リーグ。その初戦となったロッテ戦に「5番三塁」で先発した立石は3安打とアピールした様子。ポストシーズンの戦力として考えているかもしれないが、やはり将来の3、4番として育てなければいけない。「森下、佐藤、大山」の名前がない甲子園のスコアボード。それを見て、そんな思いを強くした。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)