現在は巨人で2軍監督を務める石井琢朗がDeNAでコーチをしているとき、熱心に鍛えていたのが度会隆輝だった。「話をしているとき、こっちに『マジっすか?』なんて言葉遣いをする。『そういうのはダメ』と教えたけれど、なんていうか調子者というか。でも乗ってくると打つんですよ」。そんなことを話していた記憶がある。
CSファーストステージ第2戦は、その度会が前日10日、9回に放った決勝本塁打に続き、1回に先頭打者本塁打をマーク。2試合での2打席連続本塁打が流れをつくり、DeNAが連勝した。これで2年連続で阪神とのファイナルステージでの対戦があっさり決まったのである。
それにしても目立つ働きだった。よく短期決戦では「ラッキーボーイの出てきたチームが勝つ」などと言われる。牧秀悟も2戦連発したが、度会が今季134試合の出場で放った本塁打数は「9」。それを考えれば、このCSでの2発は、まさにそのラッキーボーイに当たるかもしれない。
今季、甲子園でのDeNA戦でのこと。冒頭の石井との会話を思い出しながら、度会と少しだけ話した。「最初の打席で打つと乗ったりするタイプなん?」。そう聞くとニッコリ笑って「そういう傾向があるんですかね」と話した。元プロ野球選手の子息ということもあり、体育会的な態度もいい、ナイスガイだ。
そして、この度会は阪神戦でよく打っている。今季放った安打数「29」は、対戦カード別でもっとも多い。もちろん、それだけでどうこう言うことはできない。それでも、完全優勝した中で、対戦成績13勝12敗ともっとも苦労したDeNAを相手に、乗ってきた度会の存在は油断できない。
巨人とDeNAの戦いの前、指揮官・藤川球児に「相手はどちらがいいと思ってるのか?」と直球質問をした。「そんなの、今、言えるわけないでしょ」と笑った球児。もっともだな、と思ったがその後に「まあ、あまり感情を動かされない相手がいいのかな」とつぶやいていた。
それが何を意味するのかは、正直、分からない。「伝統の一戦」の相手はイヤということか。それとも短期決戦に強いと評判のDeNAは…ということなのか。いずれにせよ14日からファイナルが始まる。度会で切り込んでくるであろうDeNAを倒すことが、次のミッションだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




