緊張感の走る展開になった。CSファイナルステージ初戦。阪神は平良拳太郎からつなぐDeNA投手陣の前に0封負けを喫した。さらに9回表には衝撃が走る。虎番記者の記事にもあるように8回の打席で自打球が当たったように見えた佐藤輝明が交代するのだ。

佐藤は試合後、第2戦を前に出場へ前向きな様子を見せていた。それでも少し引っかかるのは指揮官・藤川球児が取材で話した内容である。見た限りでは交代は自打球の影響と思っていたが球児はこれを否定し、こんなことを言った。

「自打球ではないです。違います。元々あった症状だけれども、きょう、さらに強く症状が出たという報告を受けてますけど。現状では」

もちろん長いシーズンを戦い終えて、疲労が残っていないはずはない。それでもこの接戦の中でベンチに下がるというのは、やはり、心配になる。どの部分がどれほどの状態なのかは分からないけれど、2戦の出場は当日のコンディションを見なければ分からないということかもしれない。

思うのは「もしもスタメンに佐藤の名前がないようなことになれば」ということだ。そんな予想はしたくもないけれど可能性はある。これまでも書いてきたことだがいまの阪神は佐藤のチームだ。虎党それぞれの見方、センスによって「○○のチーム」という名前の部分は違うかもしれないが、打線、チームの中心に佐藤がどっしり座っているのは誰も否定できない。

それでも、と強く思うのは「それでも阪神は勝たなければならない」ということだ。昨季、今季と連覇できた最大の要因は主軸に大きな故障者が出なかったことだろう。特に試合に出続けるという面において佐藤は完璧だった。それがあっての三冠王だ。

しかし来季かどうかは分からないが、近い将来、佐藤抜きの打線を組まなければならない日は来る。必ず来るのだ。万が一、このCSファイナルでそんな場面が訪れたとしても、それだけで敗退するワケにはいかないはずである。

日本一の23年、そして昨年と優勝して甲子園で迎えるCSの初戦で負けたのはこれが初めて。そこを球児に聞くと、こう言った。「常に初めてのことだと思ってやっていますので」。その通り、勝負は常に新しい。佐藤の状況がどうなのかは別にして、大事なのは次のゲームに勝つことだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)