今春センバツ8強の龍谷大平安(京都)が、奥村真大内野手(2年)の満塁弾を含む猛攻で、日星に7回コールド勝ちを飾った。

ヤクルト奥村展征内野手(24)を兄に持つ2年生スラッガーは4回2死満塁で豪快な1発。原田英彦監督(59)のグータッチも飛び出し、同校2年連続夏の甲子園出場へ勢いをつけた。

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奥村の打球は放物線を描き、左翼スタンドに飛び込んだ。4回表。リードが4点に広がり、なおも2死満塁の場面で会心の一撃。「素直にうれしい。狙っていました。中に入ってくる直球は好きで、投球を見た時から自信があった」。試合を決定づける1発に胸を張った。

春のセンバツは出場したが、持病の不整脈でその後の春の京都大会は欠場した。8日の初戦で復帰したばかりで、その一戦では4打数3安打。1月に心臓カテーテルを入れる手術を受けた2年生スラッガーは「全然大丈夫」と語り、この日は4打数2安打。「(センバツ後、試合に出場できなくて)力が余っていた」と、ますますアクセルを踏み込みそうな勢いだ。

満塁本塁打は初で、本塁打は公式戦2本を含む高校通算8本目。原田英彦監督(59)も「打ちよるね~。あいつは持ってる」と称賛した。

グランドスラムを決めた奥村を、原田監督はグータッチで迎えた。原田監督は昨夏、「最高だぜー!」と叫んでナインを鼓舞し、甲子園に導いた。選手の気持ちを盛り上げるため、今大会はグータッチを使用するが、これだけでは終わらないようだ。監督として春夏の甲子園通算18度の出場を誇る指揮官は「まだ考えているのがある」と不敵な笑み。何が飛び出すか分からない。試合後、なぜか手に持っていたバナナを1本奥村に渡し、報道陣を笑わせていた。【南谷竜則】