今年のメジャーは、7月30日(日本時間31日)がトレード期限です。毎年この時期になると、地区優勝やプレーオフ進出を目指すチームが、駆け込みトレードを仕掛けます。それによって世界一が決まると言っても、過言ではないからです。

昨年オフ、ドジャースは大谷翔平投手との10年総額7億ドル(当時のレートで約1015億円)をはじめ、巨額契約を次々に結びました。FA選手だけで総額約10億6700万ドル(同約1547億円)を投資。史上空前の大型補強を施しましたが、現有勢力で地区優勝は出来ても、最終目標の世界一になるにはさらなる戦力補強が必要です。

この時期にドジャースのトレードで最も印象に残っているのは、2008年7月にレッドソックスから日本でもおなじみの主砲マニー・ラミレスを獲得したことです。ドジャース移籍後53試合で打率3割9分6厘、17本塁打、53打点と活躍し地区優勝に貢献。プレーオフでも打率5割2分と大活躍しましたが、リーグ優勝を逃しました。

ドジャースはここ11年連続でプレーオフに進出し、10度も地区優勝し、毎年のようにトレード期限に戦力補強を行ってきました。17年はレンジャーズからダルビッシュ有投手、18年はオリオールズからマニー・マチャド三塁手、21年はナショナルズからマックス・シャーザー投手とトレー・ターナー遊撃手を獲得。これだけ補強をした年でも、世界一には手が届きませんでした。

今年こそ20年以来の世界一を目指すには、トレード期限の戦力補強成功が絶対条件となります。今回最大の補強ポイントは一時期7人もの負傷者を出した先発投手です。MLB公式サイトの取材にブランドン・ゴームズGMも「ターゲットはインパクトのある先発投手」と認めています。

24日(同25日)にタイラー・グラスノー投手が負傷者リストから復帰し、翌日には左肩手術からの復活を期すクレイトン・カーショー投手も復帰しました。さらにウォーカー・ビューラーが今月末から8月中旬に復帰予定。山本由伸投手も8月中旬以降の復帰が見込まれますが、それでも世界一を目指すには十分と言えません。

なぜなら、メジャー9年目のグラスノーは年間120イニングまでしか投げたことがなく、メジャー通算210勝のカーショーはポストシーズンであまりいい結果を残していません。2年ぶりメジャー復帰のビューラーも本来の球威が戻っておらず、山本に対して球団は慎重な姿勢を見せているからです。

ゴームズGMが言う「インパクトある先発投手」とは、100マイル級の剛速球投手であり、相手を力でねじ伏せることができる投手。また、先発として6回を任せられ、ゲームが作れるピッチャーです。実際、21年以降ドジャースはポストシーズンで6回まで投げた投手が1人もいません。

米メディアが獲得候補と報じているのは、ホワイトソックスのギャレット・クロシェット、タイガースのタリク・スクバルの両投手です。いずれも若い剛球左腕で、前者は今季メジャー前半戦トップの奪三振数を誇り、後者は前半戦で「メジャー最高の投手」と評されました。

強打の外野手獲得も話題になっています。なぜなら、昨年センターで攻守に活躍したジェームズ・アウトマン外野手が不振。代わりにキューバ出身の新人アンディ・パヘス外野手が主にセンターを守りますが、本来はライトを守る選手で、本職のセンターがいないからです。

米メディアが補強候補に挙げるのは、ホワイトソックスのルイス・ロべルト外野手です。キューバ出身のロベルトは、昨年ア・リーグ3位の38本塁打を放っただけでなく、20年ゴールドグラブ賞にも輝いた一流のセンターだからです。

このコラムが掲載されるまでに駆け込みトレードが成立している可能性もありますが、この時期のトレードを成功させることがGMにとって最大の手腕の見せどころで、彼らの使命と言えます。

【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)