熊本県宇土市出身の小結義ノ富士(25=伊勢ケ浜)が、被災した故郷を思いながら夏巡業に参加した。大相撲の夏巡業は2日、岐阜メモリアルセンター で愛ドームで初日を迎えた。7月28日の熊本地震発生時は帰省中。大きな揺れに死の恐怖を味わい、実家は半壊状態と大きな被害を受けた。実家をサポートしつつ、関取として、復興を目指す地元を相撲で元気づけると誓った。
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帰省中の故郷で、大きな揺れに襲われた。「死ぬかと思いました」。幸い、自身にも両親にもけがはなかった。
震度6強を観測した熊本県宇土市にある実家は、電気も水も止まった。壁にはひびが入り、窓は外れて、はめられない。建物も傾いた。トイレも壊れ、コンビニのトイレを利用した。「実家は半壊したみたいな感じです。墓石も倒れました」。周辺で電車が脱線するなど被害は広がっていた。
揺れの記憶は鮮明だ。「ドーンって音がしてきて、それでガタガタって。最初縦揺れで…大変でした。久々にびびりました」。10年前の熊本地震も経験している。当時は中学3年。「10年前より死ぬと思いました」。今回の方がはるかに恐怖は大きかった。
父で元競輪選手の草野信一さんが宇城市で営む「焼肉草野」も被害を受けた。電気が通っていたため、一時は寝泊まりする場所にもなった。とはいえ、店内は皿やグラスが割れて散乱した。「店も当分できないですね」。営業再開には時間がかかる見通しだ。
風呂を借りるため親戚宅へ向かうにも、普段は約30分の道のりが2時間かかった。休業に追い込まれたガソリンスタンドも少なくなく、知人に頼んで燃料を入れてもらったこともあった。電波も悪く、心配する知人らへすぐに返信できなかった。復旧作業を手伝った後、1日に岐阜入り。「昨日久々にホテルで安眠できました」と明かした。
実家は電気は復旧したが、水は出ていない。両親はまだ家に戻れていないという。地元支援について問われると「自分の家がやられちゃったんで」と、まず家族の生活を立て直す現実を口にした。一方で、地元の人々から「相撲で元気づけるように」と声をかけられた。「それしかできないので。明るいニュースを届けられたら。10年前は2回大きな地震が来たので、これ以上ないように祈ります」。故郷に少しでも明るい話題を届けるため、巡業の土俵に立つ。【山田遼太郎】

