政界地獄耳

露払いにもならぬ河野太郎外相/政界地獄耳

★首相・安倍晋三はこの1年を日露首脳会談に賭けたいという気持ちだろうが、ロシア国内の世論はだいぶ違うようだ。9日、ロシアのモルグロフ外務次官に駐露大使・上月豊久が呼ばれ、首相が4日の年頭記者会見で「北方領土に住むロシア人に帰属が日本に変わることを理解していただく」などと述べたことについて、「一方的なシナリオの押しつけだ」と抗議したが、大使は「文化に関する話をした」と答えたため、早速ロシアのテレビでは特集を組み、生け花や歌舞伎の映像を見せ、皮肉った。

★番組では続いてサハリン州のリマレンコ知事代行が「サハリン州の人々は、領土の変更は一切望んでいない。クリール(北方領土)発展のための計画を今年も続けていく」と発言。露外務省ザハロワ報道局長は、日本が(読売新聞などで)事前に交渉内容をリークしているのに、日露外相会談の記者会見を取りやめるよう求めてきたのは「実におかしなやり方だ」とした。

★さらに、在日米軍のマルティネス中将が、9日に日本記者クラブで「米軍が北方領土に戦力を置く計画はない」と述べたことも伝えた上で、「現時点で計画はない」と言っているだけで、ロシア軍の同じ立場の人間が「現時点でアラスカにロシア軍の基地を置く計画はない」と言っているようなものと警戒感を示した。また、日本政府が米軍の訓練のために馬毛島を購入したことについても、地図入りで詳しく説明し「このように島を買い取ってアメリカにプレゼントするような日本政府が、クリール諸島でも同じことをやるかもしれない」と番組のキャスターが踏み込んだ。

★ロシアは相当、日本の情勢や世論動向にも詳しく、最新の情報を盛り込んだ番組が編成され、当局も積極的に番組に関わっている。つまり全く歓迎されていないという情報発信をしている。外相・河野太郎会見拒否は日本側が13日になり、会談後に記者説明を行うと連絡してきたことも報じられ日本の外務省のお粗末ぶりも暴露されている。首脳会談の露払いにはならなかったようだ。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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