何を切り取るべきか?/政界地獄耳
★五輪相・桜田義孝が競泳選手の池江璃花子の白血病公表についてのコメントに批判が相次いだことを受けて産経新聞電子版は14日、「『がっかり』だけではなかった 桜田五輪相発言全文」を報じた。13日、衆議院予算委員会で桜田は「突然の話にショックを受け、率直に残念である旨を発言をした。発言の中で『がっかりしている』『盛り上がりが若干、下火にならないか心配だ』という部分については配慮を欠いたと思い、お詫(わ)びをし、撤回したい」と陳謝、撤回した。
★しかし産経が掲載したように全文を読めば特段問題はないと感ずる人もいる。マスコミの悪意ある切り取りが問題だという声もある。だが、発言の中で“特異”な発言があるからニュースになる。その部分が切り取られるのは当然のこと。新聞やテレビ・ラジオは紙面や時間が限られ、その“特異”な部分だけが取り上げられることがニュースバリューとなる。ところがネットの出現により全文掲載が可能になった。
★何がニュースなのか、その「切り取り」をマスコミに任せず全文掲載させて読者や視聴者が判断すべきという声がある。前後を読めば理解されるという理屈だ。「早く治療に専念していただいて、頑張っていただきたい。また元気な姿を見たい」とした上で「がっかり」「下火」発言を書き込めば桜田発言は問題はなかったのか。
★マスコミの役割は膨大な情報量の中から何がニュースなのかを切り取ることにある。それを放棄したらマスコミは無用になり、発言録の全文だけ掲載すればいい。メディアがどの部分か、何を切り取るかがニュースの価値だからだ。ただ産経がネットに掲載したように「要旨」ではなく全文を載せるべき事柄もあるはずだ。メディアの環境が変化する中、何がニュースなのか、何を切り取るべきかが問われているといえる。(K)※敬称略
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政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)