政界地獄耳

【政界地獄耳】トルコ外交の見事な駆け引き、歴史ある国家の外交とはこういうものか

★歴史ある国家の外交とはこういうものか。北欧フィンランドとスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)への加盟に難色を示してきたトルコが一転して加盟支持を表明したのが6月28日。トルコは両国が反政府武装組織クルド労働者党(PKK)を支援していることなどを理由に反対していた。3カ国の首脳は30日にはNATOのストルテンベルグ事務総長を交えて会談した。スウェーデンとフィンランドはトルコからのテロ容疑者引き渡しの仕組みを強化、国内法の整備も確約した。これまでは禁止してきたトルコへの武器禁輸措置までも解除する。加盟が実現した後はフィンランドとロシアの約1300キロに及ぶ長い国境がNATO対ロシアの最前線となる。両国の足元を見ながらのトルコ外交の駆け引きは見事としか言いようがない。

★一方、アジアの眠れる民主国家インドもしたたかだ。ロシアに対しての国連決議や経済制裁にもくみせず米国がアジア版NATOを意識した日米豪印の4カ国戦略対話クアッド(QUAD)の会合を東京で開いたものの、共同声明にはロシアという文字すら出てこない。背景にはインドと中国の緊張がある。印中間は3500キロに及ぶ国境線が画定しておらず軍事衝突が突発的に起きている。インドはロシアと軍事的協力関係を作り、武器供与も含め関係は良好だ。中国はパキスタンに武器供与を続ける。アジアの地政学も欧州同様複雑だ。インドは欧米が考える外交・軍事同盟化よりも非同盟主義を貫き全方位外交を選ぶ。米国が関与する隙もない。

★NATO首脳会議は欧米の「民主主義陣営」と露中を軸とする「権威主義陣営」との対立を作り上げようとし、日本はそこにしがみついている状態。非同盟主義も無視できない勢力といえる。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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