政界地獄耳

【政界地獄耳】北朝鮮とロシアの接近を中国が懸念か むしろ両国と離れて外交的転換の機会かも

★4日、防衛相・木原稔と米オースティン国防長官は従来の計画より1年早い25年度にトマホークの取得開始で一致した。16日、北朝鮮国営の朝鮮中央通信は日本政府が「トマホーク」導入時期を早める方針について、日本が反撃能力(敵基地攻撃能力)の整備に向けて「『専守防衛』という仮面を完全に脱ぎ捨てた」と批判した。一方、14日から自衛隊5000人と米海兵隊および陸軍1400人などが参加する離島防衛共同訓練「レゾリュート・ドラゴン」が始まったことも影響している。

★日本の防衛政策への批判、周辺地域での日米韓などの軍事演習が実施されている時期に北朝鮮はミサイル実験を行うことが多く、日米韓防衛当局は神経をとがらせる時期だが、本来なら中国が率先して文句を言ってくる事案だ。中国ウオッチャーが言う。「北朝鮮による『専守防衛を捨てたのか』の指摘は正しい。トマホーク導入は我が国初の長距離ミサイル装備だ。つまり北京に届くミサイルになるが、中国外務省はなんら抗議を強めない。本来なら大騒ぎのはずだがトマホーク程度のミサイルなら中国は怖がらないとみたのか」。加えて「13日、米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官が9月から10月にかけてコンテナ1000基以上の軍事装備品が北朝鮮からロシアに引き渡されたと明らかにしたが、中国が懸念するのは北とロシアの接近ではないか」と続ける。

★今まで北朝鮮は中国の言うことを忠実に守ることで、経済苦境を乗り越えてきた。ところがロシアのウクライナ戦争特需で武器輸出が好調となれば、中国の言いなりにはならない。ただ中国も北朝鮮やロシアと地続きで地政学的なつながりより、世界の中心で米国と張り合いたい。つまり北朝鮮とロシア離れのいいチャンスでもある。今後は中国の外交的転換点ともいえる変化があるのではないか。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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