ボードゲーム「バックギャモン」の国別対抗戦で日本が世界を制した。昨年9月から開催されていた「オンライン・チーム・チャンピオンシップ2020」が24日終了し、日本は10勝1敗で8年ぶり2回目の優勝を果たした。1チーム5人による団体戦で、柔道の先鋒(せんぽう)から大将までそれぞれが対戦して3勝した方が勝ちとなる。欧米などから33カ国が参加し、2回戦からは同星の国と国が対戦する。3敗したら失格となる。

日本は昨年9月の初戦でデンマークを4勝1敗で下すと、そのまま5連勝。6回戦のチェコ戦(同11月)、8回戦のブルガリア戦(同12月)は2連敗3連勝の逆転劇で、土つかずの8連勝と快進撃を演じた。

昨年暮れのドイツ戦で1勝4敗となり、初黒星。9勝1敗で迎えた年明け初戦、1月4日からのドイツとの再戦でも2連敗した。その後3連勝と、またしても逆転勝利となった。勢いに乗ったノルウェー戦もいきなり3連勝して、優勝を決めた。

YouTubeの配信担当もしていた池谷直紀主将(46)は、「ドイツとの再戦で勝てたのが大きかった。徳俵から盛り返した気分だった。こうなれば、風向きの完全にこっち。決勝のノルウェー戦は1人勝つたびに大騒ぎしていた。3人目が勝った時には、ついにやったという感じがした」と言う。

今回のチーム構成は、昨年の国内最高勝率を獲得した池谷主将のほか、20年間世界的にもトップを走り続ける市川勝規さん、タイトル6期獲得の実力を持つ西川清一さん、同2期の上田英明さん、17歳の新鋭で18~19年新鋭戦連覇の名城健太郎さんが選ばれた。日本バックギャモン協会のレーティングなどを重視した。

バックギャモンは、2000年以上の歴史がある「すごろく」。チェス、トランプ、ドミノとともに世界4大ゲームの1つとされ、ダイスを2個振って2人で対戦する。多少の運と、局面を読む力がないと勝てない。

「読み」に優れる囲碁や将棋の世界にも愛好者はいる。国内で5つあるタイトル(名人・盤聖・日本選手権・王位・賽王)のうち、将棋の東大OB棋士である、片上大輔七段(39)は05年と18年に王位、昨年賽王を獲得した。本業で名人8期など計12期タイトルを獲得した森内俊之九段(50)も、19年に王位となった。囲碁でも名人獲得経験者の武宮正樹九段(70)が、05年に盤聖となっている。

同協会によると、国内のバックギャモン人口は約20万人。世界約3億人。数こそ少ないが、世界ランキング1位は望月正行さん、2位景山充人さん、6位の矢澤亜希子さんと、トップ10に3人がいる。他国にこれだけのランカーはいない。しかも、望月さんは09年、矢澤さんは14年と18年に世界選手権(個人戦)を制している。

さらに今回は、名人と盤聖の現在2冠を保持する中村慶行さんも不参加。よその国からは「手を抜いたのか」とまで言われた。「プロ野球のソフトバンクのように、選手層厚さを誇ることができました」(池谷主将)。

コロナ禍で昨年の世界選手権は開催されなかった。その一方で小さな大会などはオンライン対局が増えているという。こちらの国別対抗戦は2010年から行われている。次回の活躍も期待できそうだ。